東北を聴く――民謡の原点を訪ねて (岩波新書) の感想
参照データ
タイトル | 東北を聴く――民謡の原点を訪ねて (岩波新書) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 佐々木 幹郎 |
販売元 | 岩波書店 |
JANコード | 9784004314738 |
カテゴリ | エンターテイメント » 音楽 » J-POP・日本の音楽 » 邦楽・民謡 |
購入者の感想
よそ者の詩人が、大震災後の東北を訪ね、民謡を聴く。ひとの声を聴く。二代目高橋竹山とともに。
大船渡の六十代女性。「唄うたってる声が聴こえてきましたよ。潰れた家の下から・・・・・八戸小唄だったと思いますよ」。
民謡は一人の制作者のものではない、と言う。土地の文化から生まれ、同時に、流れ込む他所の文化にも育てられる。民謡は人々にうたい継がれ、土地ごとに自由に変化する。
民謡演奏への最高の誉め言葉は「すばらしかった」でも「涙が出た」でもなく、「ああ、寿命が三年延びた!」だと言う。
「ハアーアーアーアー 遙か彼方は相馬の空かヨ ナンダコーラヨーット(ハァ チョーイチョイ)」。新相馬節。
相馬からだけでなく、原発事故によって故郷や我が家から避難せざるを得ない、何万人もの福島のひとびとの唄ではないか。
けれども詩人は、囃子詞に「間の抜けた明るさ」と「この世は続くもんだよ」という「希望の灯」をも聴く。「辛いときには『唄』をうたう。『唄』はそのためにある」。
原発事故でいろいろなことが変わってしまった。これからのことはあてもなく、わからない。けれども、唄は変わらない、と言う。
ひとびとは「大漁」でなくても「大漁だエー」と唄い、「大漁」を呼び込もうとする。
大船渡の六十代女性。「唄うたってる声が聴こえてきましたよ。潰れた家の下から・・・・・八戸小唄だったと思いますよ」。
民謡は一人の制作者のものではない、と言う。土地の文化から生まれ、同時に、流れ込む他所の文化にも育てられる。民謡は人々にうたい継がれ、土地ごとに自由に変化する。
民謡演奏への最高の誉め言葉は「すばらしかった」でも「涙が出た」でもなく、「ああ、寿命が三年延びた!」だと言う。
「ハアーアーアーアー 遙か彼方は相馬の空かヨ ナンダコーラヨーット(ハァ チョーイチョイ)」。新相馬節。
相馬からだけでなく、原発事故によって故郷や我が家から避難せざるを得ない、何万人もの福島のひとびとの唄ではないか。
けれども詩人は、囃子詞に「間の抜けた明るさ」と「この世は続くもんだよ」という「希望の灯」をも聴く。「辛いときには『唄』をうたう。『唄』はそのためにある」。
原発事故でいろいろなことが変わってしまった。これからのことはあてもなく、わからない。けれども、唄は変わらない、と言う。
ひとびとは「大漁」でなくても「大漁だエー」と唄い、「大漁」を呼び込もうとする。