民主主義の本質と価値 他一篇 (岩波文庫) の感想

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参照データ

タイトル民主主義の本質と価値 他一篇 (岩波文庫)
発売日販売日未定
製作者ハンス・ケルゼン
販売元岩波書店
JANコード9784003900017
カテゴリジャンル別 » ビジネス・経済 » 経済学・経済事情 » 経済学

購入者の感想

長い間、西島芳二氏の翻訳本が流通していた、ケルゼンの民主主義論(第二版)岩波文庫本の長尾龍一氏、植田俊太郎氏による新訳である。よく知られている本なので、内容は省略する。名著だと思う。
旧訳との違いは次の通りである。(客観および私感)
1. 旧訳の題は「デモクラシーの本質と価値」であった。
2. 本文(序言+全10章)は、新訳本は約122頁、旧訳本は約107頁(数え間違いあればご容赦。以下同様)。新訳の方が字が大きく、行数も1頁1行少ない。視覚的には、新訳本のほうが読みやすい。
3. 文章、用語については、現代的で、易しい新訳という趣旨と思うが、必ずしも全部そうとは言えず、旧訳の方が、平易で、わかりやすい部分もある。これは、新訳は旧訳を意識してしまうので、旧訳が短く書いているところを、ちょっと解説気味に書き、旧訳がちょっとだらだら書いているところを、簡潔な言葉で書いてしまう(結果的に難しくなることもある)からではないかと思う。なお、内容は難しい本ではないので、旧訳新訳とも、読書には問題ない。
4. 注解は新訳約21頁、旧訳約21頁で、同じぐらいかと思う。
5. 訳者解説は新訳が約23頁、旧訳が約5頁(+矢部貞治序文約10頁)。新訳の訳者解説は丁寧で、興味深い。ただ、本文を読めばわかることまで書きすぎているような部分もある。
6. 重要なこととして、今回の本には約15頁の「民主主義の擁護」(1932年)の訳がついている。これは大変にうれしい。ドイツにおける民主主義の敗北を目前にして書かれたもので、ケルゼンのため息、悲鳴、そして、決意が聞こえてくる。
疑問点
●新訳本18頁9行は「根源的な自由への本能が受ける変遷・性質変化のー」となっている。これはその前の「第一段階にほかならない」の繰り返しという意味かと思う。原文がどうなっているかしらないが、訳文としては、この省略表記は大胆すぎると思う。きちんと書くべきではないだろうか。(旧訳ではきちんと書かれている)

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