ノモンハン戦争―モンゴルと満洲国 (岩波新書) の感想
参照データ
タイトル | ノモンハン戦争―モンゴルと満洲国 (岩波新書) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 田中 克彦 |
販売元 | 岩波書店 |
JANコード | 9784004311911 |
カテゴリ | 歴史・地理 » 日本史 » 一般 » 日本史一般 |
購入者の感想
歴史に”if”はない。そのことを自明の理としつつ、しかしノモンハン戦争(事件ではない)は避けることができたのではないかという視点で書かれている。
本書ではソ連と満洲国の支配のもとで二分されたモンゴル民族の悲劇が、あぶりだされている。具体的には一方に1921年のモンゴル独立後、ソ連の強権のもとで多くの要人、人民が日本のスパイと断定され粛清されながら耐えもその延長にソ連崩壊後、独立を全うしたモンゴル人民共和国があり、他方には満州国の中国東北部に編入された地域に居住するモンゴル人がいる。民族的にはハルハ族(モンゴル人民共和国)とバルガ族(満州国)の相違があり、背後にはそれぞれソ連と日本が控えていたが、その両者(ソ連・モンゴル人民共和国軍と日本・満洲国軍)は1939年5月に戦闘状態に入り、約4ヵ月間の交戦が続き、双方約二万人の死傷者、行方不明者をだした。ノモンハン戦争がこれである。
この戦争がもしかしたら「避けることができたかもしれない」というのは、1935年6月に開かれたマンチュリー会議での国境確定のための会議が設定され、これを契機にハルハ族とバルガ族との統合への方途をさぐる一歩になる可能性があったからである。しかし、ソ連はあらゆる手段を講じてその可能性を阻止し、日本帝国主義もそれを望まなかったし、関東軍の辻正信は暗躍して国境確定の交渉を壊した。
「あの戦争は一体何だったのか、背後には何があったのか、どのような状況によって戦争に至ったかを、最近の研究から明らかになった成果にもとづいて、できるだけ客観的に示そうとした」のがこの本である。
本書ではソ連と満洲国の支配のもとで二分されたモンゴル民族の悲劇が、あぶりだされている。具体的には一方に1921年のモンゴル独立後、ソ連の強権のもとで多くの要人、人民が日本のスパイと断定され粛清されながら耐えもその延長にソ連崩壊後、独立を全うしたモンゴル人民共和国があり、他方には満州国の中国東北部に編入された地域に居住するモンゴル人がいる。民族的にはハルハ族(モンゴル人民共和国)とバルガ族(満州国)の相違があり、背後にはそれぞれソ連と日本が控えていたが、その両者(ソ連・モンゴル人民共和国軍と日本・満洲国軍)は1939年5月に戦闘状態に入り、約4ヵ月間の交戦が続き、双方約二万人の死傷者、行方不明者をだした。ノモンハン戦争がこれである。
この戦争がもしかしたら「避けることができたかもしれない」というのは、1935年6月に開かれたマンチュリー会議での国境確定のための会議が設定され、これを契機にハルハ族とバルガ族との統合への方途をさぐる一歩になる可能性があったからである。しかし、ソ連はあらゆる手段を講じてその可能性を阻止し、日本帝国主義もそれを望まなかったし、関東軍の辻正信は暗躍して国境確定の交渉を壊した。
「あの戦争は一体何だったのか、背後には何があったのか、どのような状況によって戦争に至ったかを、最近の研究から明らかになった成果にもとづいて、できるだけ客観的に示そうとした」のがこの本である。