憲法と平和を問いなおす (ちくま新書) の感想

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タイトル憲法と平和を問いなおす (ちくま新書)
発売日販売日未定
製作者長谷部 恭男
販売元筑摩書房
JANコード9784480061652
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 法律 » 憲法

購入者の感想

本書のメインテーマは、「平和主義」ではなく「立憲主義」だ。立憲主義の視座から、平和主義を考える内容になっている。

特定の事柄を、民主的手続きが及びにくいものとして憲法に定めるのは、そもそもどうしてか。憲法を改正しようとする試みること自体に、「立憲主義に反する」といった言い方がなされるのは何故か。憲法の改正論議が盛り上がりを見せるなかで、そのような疑問を持って本書を読んだ。著者の議論はクリアであり、説得力がある。

民主主義によって決められることに制限を設ける理由として、著者は、人々の抱く価値観が比較不能 (incommensurable) であることを挙げる。どのような人生を送りたいか。どのような物事に価値を置くか。こういった生き方の問題は、各人で異なるし、そのどれかが他より善いようなものでもない。
しかし、人々が抱く価値観は、しばしば激しく対立する。その最たる例が宗教対立であり、対立は血で血を洗う惨禍にまで陥りかねない。

比較不能な多数の価値があるという前提の下、それでも社会として統一的な決定を下さなければならない状況に、私たちは置かれているというわけだ。

ではどうするか。方途のひとつとして登場するのが、立憲主義である。相異なる価値観を抱く人々がfairに共存できるような、社会の枠組みを構築する。それが立憲主義のミッションである。

具体的に用いられるのは、公と私の区分だ。人々の抱く価値の問題=「私」の領域と、社会の枠組みを設定する政治の舞台=「公」の領域とを区分し、その区分を憲法として保障する。私的領域に関することを政治が決められないように、公的領域に私的な対立が入り込まないように、2つの領域を憲法が分割する(政治の領域を限定する)。そのために、プライバシーの権利、思想・良心の自由、信教の自由などが定められている。

硬性憲法として通常の法律よりも改正のハードルを上げることで、民主的手続きが及びにくいようにしているのは、一時の政治的多数に頼って、公私の領域区分が乱されないよう保護するため、ということになろう。

一方、読んでいて疑問に思ったのは、公私区分の決め方である。

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