天皇はなぜ万世一系なのか (文春新書) の感想

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タイトル天皇はなぜ万世一系なのか (文春新書)
発売日販売日未定
製作者本郷 和人
販売元文藝春秋
JANコード9784166607815
カテゴリ歴史・地理 » 日本史 » 一般 » 日本史一般

購入者の感想

中世以来の日本史における公家(その頂点が天皇家)や僧侶のいわば出世経路を豊富な事例を挙げて分析し、「世襲」と「才能」そして「徳」という3つの基準が、時代時代であるいは状況状況で如何なる内在的論理によって運用されてきたか(例えば、明治政府下において「才能の官と世襲の民」の間を取り持つ一種の安定化装置としての天皇制(188頁))を、大変分かりやすく解き明かしてくれる好著。叙述は平易だが、内容は濃い。

「たしかに朝廷は弱体化しており、幕府の援助なしには延命できぬほど実権力が衰えている。武力をもって天皇家の息の根を止めることは容易い。けれども、世襲を否定すると、幕府を支えている原理・原則を、将軍自らが突き崩すことになるのです。狡猾な義満が、そんなことをするとは思えません」(165頁)。
「武士のトップは言うまでもなく将軍ですが、これも何人かの例外を除いては、影が薄い。実務は鎌倉幕府では執権北条氏が、室町幕府では三管領が、江戸幕府では老中(時に大老)が担っていて、専制をふるう機会がなかった。そのため、幕府が滅亡する時に責めを負って命を失った将軍がいないのです」(180頁)。
「女性天皇が産んだ皇子・皇女が「女系の天皇」になるためには、女性天皇の配偶者が一般人=臣下でなくてはならない。皇族ならば、男系になるのです。でも、一般人が皇女、ましては女性天皇を犯すのは到底許されることではない。それゆえに女性天皇が一般人の子どもを産むことはなく、天皇は結果として男系で継承されていったのです」(201頁、高貴な女性の神聖性の議論)。
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本書のように優れた歴史センスに基づく一書は、単に歴史学の領域のみならず、現代社会を読み解きあるいはビジネスにおいても適用(応用)が可能な瑞々しさに満ちている。

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文藝春秋から発売された本郷 和人の天皇はなぜ万世一系なのか (文春新書)(JAN:9784166607815)の感想と評価
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