丸山眞男 人生の対話 (文春新書) の感想

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参照データ

タイトル丸山眞男 人生の対話 (文春新書)
発売日販売日未定
製作者中野 雄
販売元文藝春秋
JANコード9784166607631
カテゴリ人文・思想 » 哲学・思想 » 東洋思想 » 東洋哲学入門

購入者の感想

著者は、実業界で成功した丸山真男のお弟子さん。しかも、仕事が、丸山が好んだクラシック音楽と関係のある分野。学者ではないのに、多くの点で丸山真男と共有できる「場」があって、なによりもかつての弟子だから、丸山の専門についても無論理解がある。学者ではないところが、風通しが良く、本書全体が、結果、丸山への「賛辞」という性格に入るとはいえ、極端な、見上げる目線でもなければ、無論、不愉快極まりない言いがかり的批判者の目線でもない。かなり身近から丸山真男という人を見つめた人が書いた「丸山」本の中では、わたしは、丸山真男の人柄が良く出ていて良い本だと思った。おもしろかったのは、柴田南雄が、フルトベングラーは謂わばドイツ観念論の精神で、チャイコフスキーさえも、ヘーゲルみたいになっちゃう、というような話をしたことを耳にして、「言いたいやつに言わせておけ、フルトベングラーの良いところはそこなのだ」という趣旨の発言をしているところで、考えてみると、丸山真男の本は、どれも名文で、中々卓見だが、どことなく、「鮮度がない」というか「生の感じがない」というのは、バロックやルネサンス音楽を、ロマンティックに奏でて平気なオーマンディか、少し下ってパイヤールやイ・ムジチみたいなところがあるからだ、と思った。丸山の本もどれも「名演」だけど、語る内容の斬新さや鋭さにスタイルが合っていたのかなあ、と思う。丸山真男は、加藤周一や一世代前の小林秀雄ら知識人同様、なんとなく恥ずかしくなるような恰好をつけたことを言って、それに憧れるへんな取り巻きを作った人たちだが、本書は、割合と、或る意味「嫌み」なところは少ないのは、著者が、実業の人であったので、そういう憧れはあまりなかったせいだと思う。でも本書が面白いのは、著者が良く知っている官僚機構に関する体験談に丸山のコメントが絡むところや、先にもあげた音楽絡みの話のところで、やっぱり、著者の体験や専門がモノを言ったと思う。一方、オウム事件の際に、「五十年前は日本全体がオウムだった」という有名な暴論に、著者までもが賛同しているかのような発言にはがっかり。社会の「異常現象」とは何か、というデュルケムが考えた問題が等閑視され、敗戦というカタストロフに向かう日本社会が、正常社会の中の異常現象と同一視される、という情けない発想なのに。敗戦に向かう社会が異常に見えるとしても、戦争自体が

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