地震の日本史―大地は何を語るのか (中公新書) の感想

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タイトル地震の日本史―大地は何を語るのか (中公新書)
発売日販売日未定
製作者寒川 旭
販売元中央公論新社
JANコード9784121919229
カテゴリジャンル別 » 科学・テクノロジー » 地球科学・エコロジー » 地球科学

購入者の感想

「私たちの国で暮らし続けるには、地震との共存は避けて通れない。このためには、過去の地震から多くの知識と教訓を得ることが大切である」。

タイトル通りの本。噴砂や砂脈や断層といった地質研究と古文書の記録によって、縄文時代から2007年の新潟地震までの各地に残る爪跡を紹介している。プレート構造の解説や、活断層の地図もある。一部で火山災害にも言及している(カルデラ噴火があるとものすごいことになる)。著者は考古学の現場で地震の跡と会って感銘を受け、1988年に学会で「地震考古学」を提唱した第一人者。

これを読むと、この国が頻繁に様々な地震と津波の被害に見舞われてきたことを改めて実感する。東海地震と南海地震がほぼ同時に発生して、日本の東西で被害が出たことがある。津波にしても、マグネチュードは電力会社が「想定外だった」という東日本大震災より小さいにもかかわらず、大差ない20mを超える波高が生じたものや、大阪湾内部にまで津波が押し寄せて被害をもたらしている例が過去にある。揺れはほとんどないのに津波だけは大きい「津波地震」も報告されている。また、内陸部で堤が地震により決壊したことで洪水が発生したケースでは、現代の巨大ダムで直下型地震があったらどうなるのだろうかと思った。山が半分崩れて城ごと一気に消滅した地震もある。複数の活断層がほぼ同時に活発になることもある。江戸の町では、地盤が固い大名屋敷と軟らかい下町で被害に大きな差が出た。さらに、吉原では出口がひとつしかないために、火事が重なって大きな被害が出た。関東大震災のように、朝や昼の食事の準備を行う時間が地震と重なることで火事の被害がさらに深刻になるケースもある。

今月、また新しい地震による悲劇が加わった。日本人で地震による被害を他人事だと考える人は少ないだろうし、もしいたとしたらその認識は改めなければならない。また必ずどこかにやってくるであろう災害に備え、歴史から学ぶことの大切さを痛感させられる一冊である。

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