ルポ にっぽんのごみ (岩波新書) の感想

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参照データ

タイトルルポ にっぽんのごみ (岩波新書)
発売日販売日未定
製作者杉本 裕明
販売元岩波書店
JANコード9784004315551
カテゴリジャンル別 » 科学・テクノロジー » 地球科学・エコロジー » 産業廃棄物・公害

購入者の感想

廃棄物問題を追い続けるライターとしてとても興味深く読んだ。

第2章「リサイクル大国の真実」はこんな文章で始まる。「基本法から個別のリサイクル法に至るまで、系統だっているわけではない。中央省庁の縄張り争いと利害関係者の妥協の末にできたリサイクル法の仕組みは、ばらばらで、まるで独立王国」。法の制定過程で繰り広げられる関係省庁の水面下での駆け引き、単純に「リサイクル=善」では片づけられない、混沌とした世界。リサイクル業者、国や自治体の審議会の様子など情報は満載だが、ここまでは本書の序章に過ぎない。

 不要になったものを再利用する「リユース」の世界を描く、第3章が面白い。ブックオフやヤフオクなど、よく見知った企業が登場。村上龍が司会する「カンブリア宮殿」さながらのサクセスストーリーや試行錯誤を繰り広げる。オークションのセリの様子や筆者自らが不用品回収業者の車に乗って回るルポは臨場感たっぷりだ。

 日本の中古テレビなどが売られているフィリピンの様子も詳細に描かれる。修理し、とことん使い続けるフィリピン。新品家電が次々に売られ、消費される日本と、どちらがエコか、考えさせられる。法制度の元で煮詰まったリサイクルの世界と対照的に、民間事業が先行するリユース世界。一方で、ごみとリユース品の線引きが難しく、環境省は舵とりに右往左往しているようにみえる。

 こうしたルポを締めくくるように、ごみの歴史を振り返り、バイオマス化施設やリサイクルからリユース重視という循環型社会を提示する第4章と第5章は、筆者が記者時代に培った取材力の賜物だろう。ごみ処理の根幹をなす「廃棄物処理法」の改正をめぐって奔走した環境省の飯島孝氏。志半ばに終わったが、本書の中で、問題点がクリアになり、今後目指すべき方向性を示唆してくれる。
 ごみに関心がある市民や学生、自治体職員や事業者にお勧めの一冊だ。

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岩波書店から発売された杉本 裕明のルポ にっぽんのごみ (岩波新書)(JAN:9784004315551)の感想と評価
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