高野山 (岩波新書) の感想

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参照データ

タイトル高野山 (岩波新書)
発売日販売日未定
製作者松長 有慶
販売元岩波書店
JANコード9784004315087
カテゴリ人文・思想 » 宗教 » 仏教 » 仏教入門

購入者の感想

 著者は高野山に生まれ、高野山にある大本山宝寿院の門主であり、また高野山大学の学長も務めた密教の研究者でもある。更に現在は高野山真言宗の管長でもあるということで、来年(2015年)に開創1200年を迎える高野山について語るのに最も適した人物の一人であろう。実際に「はじめに 高野山の一日」や「第二章 高野山の四季」を読むと高野山にずっと住み、僧侶として過ごしてきた著者でなければ書けないような、高野山の「空気」、「霊気」のようなものを感じる記述が随所に見られる。

 第一章では「高野山を歩く」として、山内の建造物や著名人の墓所などの案内、第六章では「高野山の文化財」として、国宝や重要文化財に指定されている美術工芸品の数々が分かりやすく紹介されており、高野山を訪れようと考えている人にとっては手ごろなガイドとして有用であると思われる。

 第三章から第五章では、高野山を開いた空海の生涯や思想の概略から、高野山開創の経緯、中世、近世そして近代に至る高野山の歴史について書かれている。特に第五章「高野山の今昔」を読むと、明治維新以後百数十年間で高野山があらゆる点で激変ともいえるような変化を経験し、今のような姿になったということが良く理解出来る。

 個々の項目については、詳しく述べられた成書がそれぞれにあると思うが、開創1200年を機に高野山に興味を持った際に全体を知るためのコンパクトな入門書という点ではお薦めの一冊であると言える。

 尚蛇足であるが、巻末の略年表にもあるように、空海が高野山開創の勅許を得た816年を開創の年とすると、1200年は2016年では?と少し前から疑問に思っていたが、本書によると100年前においても、1915年が開創1100年とされていたそうである。疑問が解消されたわけではないが、仏教でよくみられる数え年のような考え方をしているのかもしれないと少し納得した。

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