呪われた部分 有用性の限界 (ちくま学芸文庫) の感想
参照データ
タイトル | 呪われた部分 有用性の限界 (ちくま学芸文庫) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | ジョルジュ バタイユ |
販売元 | 筑摩書房 |
JANコード | 9784480087478 |
カテゴリ | 文学・評論 » エッセー・随筆 » 外国のエッセー・随筆 » フランス |
購入者の感想
前半はメキシコの原住民族に対する民俗学的研究成果であり、後半は資本主義をバタイユ的な視点から分析した経済学となっている。前半と後半で大きく雰囲気が違い、前半に関してはこれまたバタイユの本にしては珍しく、割と実証的な分析をしていて読みやすい。ただし後半は断片的論文集であり、一つ一つの文章が全くつながっておらず、雑多に書かれているため非常に読みづらい。バタイユ自身15年かけて草稿を書き、結局未完成のまま出版は死後というだけあって『呪われた部分』は相当難産だったのだろう。文中に(抹消)とか(後で補足)とか書かれていて、いかにも未完成の原稿をそのまま載せたという雰囲気がする。むしろこの迷走っぷりを楽しむのが後半の楽しみかもしれない。なぜその部分が抹消されたのかということに思考をめぐらしながら読むのも一興である。
内容はけして悪くないのだが、やはり哲学の言葉で経済学をやろうというのは無謀だったか。いや、数式の出てこない本を経済学書と言われても困ると指摘されたらそこまでであって、本書はその意味では純粋な哲学書といえる。そこは誤解なきよう。バタイユも自覚しているようで、文章中にたくさん譲歩表現が出てくる。
ちなみに、私はちくま学芸文庫版のこの装丁はなかなか凝っていて、けっこう好きである。
内容はけして悪くないのだが、やはり哲学の言葉で経済学をやろうというのは無謀だったか。いや、数式の出てこない本を経済学書と言われても困ると指摘されたらそこまでであって、本書はその意味では純粋な哲学書といえる。そこは誤解なきよう。バタイユも自覚しているようで、文章中にたくさん譲歩表現が出てくる。
ちなみに、私はちくま学芸文庫版のこの装丁はなかなか凝っていて、けっこう好きである。