フェルメール論―神話解体の試み の感想

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参照データ

タイトルフェルメール論―神話解体の試み
発売日販売日未定
製作者小林 頼子
販売元八坂書房
JANコード9784896944167
カテゴリ »  » ジャンル別 » ノンフィクション

購入者の感想

フェルメールの権威とも言える小林頼子さんの学識に裏付けられた詳細な解説の素晴らしさに息をのむ思いです。同時代のオランダに花開いた風俗絵画の到達点にフェルメールが存在しているという絵画史の俯瞰の中で位置づけられているのが理解でき、素晴らしい業績だと思います。

第3章では、17世紀前半のオランダ絵画やフェルメールの活動の中心であるデルフトの社会、同時代の画家の活躍まで話が展開されます。オランダ社会における市民の台頭によって、このような素晴らしい画家を輩出した素地が形成されたのです。興味が尽きず、示唆に富んだ解説が盛り沢山に掲載されています。

学術書であり、啓蒙書でもありました。フェルメール愛好家か、もしくはある程度その時代の絵画に通じているほうが小林さんの主張の展開を深く理解できると思います。勿論、本書でその素晴らしい画業と作品の良さを知ってもらうことで新たなフェルメール・ファンが生まれることでしょうが。

資料編のフェルメール作品一覧、作品来歴一覧、関連古文書、家系図、主要参照文献一覧、掲載図版一覧、人名索引、事項索引、フェルメール作品一覧は、どれも貴重なもので労作に値いします。いずれも研究者の利便性を高めるのは間違いありません。

ご参考までに、各章は、フェルメール忘却神話の真相、古文書が語る生涯の軌跡、一七世紀前半のオランダ絵画とフェルメールの選択、自己の発見―独自様式の確立に向けて、洗練・完成・そして停滞、フェルメールの制作法を探る、風俗画の語るもの―意味と無意味の狭間で、寓意の図像、エピローグに代えて―デルフトを描く、となっています。

増補新装版です。巻末に「1996年以降のフェルメール」という13ページの解説がありますので、より進化した著作になっています。

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八坂書房から発売された小林 頼子のフェルメール論―神話解体の試み(JAN:9784896944167)の感想と評価
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