俵屋宗達 琳派の祖の真実 (平凡社新書) の感想
参照データ
タイトル | 俵屋宗達 琳派の祖の真実 (平凡社新書) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 古田 亮 |
販売元 | 平凡社 |
JANコード | 9784582855180 |
カテゴリ | アート・建築・デザイン » 芸術一般 » 美術史 » 東洋・日本美術史 |
購入者の感想
宗達水墨画の傑作「蓮池水禽図」(82頁)にとりあげられているこの絵には、酒井抱一が箱書きして「宗達中絶品也」と書いております。ということは、抱一は複数の宗達作品を既にみていることになります。「抱一は宗達作品をみることがなかった」35頁、「抱一は宗達についてほとんど何も知らなかったはずである」(161頁)にまどわされてはいけません。「風神雷神図」はたぶんみていなかったでしょうが、他の作品はかなりみていたでしょう。
「宗達は別格でいわゆる琳派から切り離すべき」「宗達には近代性がある」という結論ありきのドミナントストーリーで突っ走っておられるので、不注意なところが多い本です。細部まで信じ込んではいけません。
それでも、色々な感想・仮説には多いに聞くべきものがあります。例えば、宗達画の年代について、菱田春草の絵画の発展から推察しているいところなど新鮮ですし、他の証拠からもおおかた同意したいところです。 ただ、この近代画家との比較という観点は意外に古いもので、昭和26年宗達・光琳派特別展に1室(13点)もの現代作品を出して以来の伝統で、昭和26年に展示された作品がこの本にとりあげられていることも興味深いと思っております。
「宗達は別格でいわゆる琳派から切り離すべき」「宗達には近代性がある」という結論ありきのドミナントストーリーで突っ走っておられるので、不注意なところが多い本です。細部まで信じ込んではいけません。
それでも、色々な感想・仮説には多いに聞くべきものがあります。例えば、宗達画の年代について、菱田春草の絵画の発展から推察しているいところなど新鮮ですし、他の証拠からもおおかた同意したいところです。 ただ、この近代画家との比較という観点は意外に古いもので、昭和26年宗達・光琳派特別展に1室(13点)もの現代作品を出して以来の伝統で、昭和26年に展示された作品がこの本にとりあげられていることも興味深いと思っております。