よみがえる戦前日本の全景―遅れてきた強国の制度と仕組み の感想
参照データ
タイトル | よみがえる戦前日本の全景―遅れてきた強国の制度と仕組み |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 亀岡 修 |
販売元 | 毎日ワンズ |
JANコード | 9784901622851 |
カテゴリ | 歴史・地理 » 日本史 » 一般 » 日本史一般 |
購入者の感想
戦前日本における天皇の存在、軍隊生活、国民の日々の暮らしなどについて、著者は最も適切と思われるデータを提示してきわめて明解に説明している。本書が際立って優れている点は、戦前の大日本帝国の制度や仕組みに重点を置いているということだ。著者は戦前を戦後との比較により浮き彫りにはしても主義や主張を押し付けることはしていない。判断するのはあくまで読者自身である。監修者には「事典・昭和戦前期の日本」という大著があるという。そういう意味では、本書は監修者が歳月をかけて完成させた資料を基に大日本帝国のシステムとメカニズムを簡明にしたものともいえるだろう。敷地内に代々木駅と原宿駅があった広大な団琢磨邸、本間家の土地は東京ドーム400個分、小学生の夢・第一位は陸軍大将、女装や仮病で逃れる者もいた兵隊検査、宣戦布告は真珠湾攻撃の後と最初から決まっていた、日本国憲法はフィリピン憲法のコピー、さらには著者が執念で調べ上げた大東亜戦争の戦費1500兆円の使途と返済など、とにかく興味は尽きない。もし日米戦争がなかったら我々は本書が示すような世の中にいるのだろうか。少し前の歴史が思いがけず当たり前で、現代が奇想天外であったとしたら・・・。