北陸資本主義 の感想

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参照データ

タイトル北陸資本主義
発売日販売日未定
製作者清丸 惠三郎
販売元洋泉社
JANコード9784800306197
カテゴリ経済学・経済事情 » 各国経済事情 » 日本 » 地域経済

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北陸新幹線開業で注目を浴びる北陸地方を取り上げた本。著者は石川県出身。地域特性や経済についての話が中心になっている。

著者によると、北陸地方は、雪はたくさん降るもののそれほど寒冷ではないこともあって、古くから豊な地域であったという。澄んだ雪解け水があり、米作地帯としての安定した生産力があり、宗教的影響もあって教育熱心で勤勉で、家内工業がさかんだった。京都や大阪との文化や商業的な結びつきも強かった。加賀友禅や九谷焼あるいは輪島塗、富山の薬売りなどの産業があり、江戸時代には北前船の交易ルートにもなった。このような伝統が北陸資本主義の基盤になった。しかし、明治維新以降は、「裏日本」としてこの地域は国の投資の中心から外れてしまう。北陸本線の全線開通も1912年と全国的にみてかなり遅かった。

戦後になっても、黒部ダムの発電を利用した工場などは作られたが、全体的には高度経済成長期に日本を引っ張った鉄鋼や石油化学や自動車の誘致で太平洋側に差をつけられ、一方で伝統産業だった繊維工業は衰退した。さらに、日本のハイテクが躍進した時期においても、工場誘致において東北や南九州に後れをとってしまった。

ところが皮肉なことに、それゆえに近年各地で問題になった工場の海外移転の痛手が比較的小さめで済んでいる面がある。コマツやYKKなどは北陸を代表する世界的な企業だが、このような地元出身の企業は、今も本社機能の一部や研究開発拠点やマザー工場を地元である北陸に置いている。それ以外の中堅企業も含め、外部からの投資や人材やノウハウに頼った鉢植え型ではなく、地元の資本と労働力と頭脳中心で育った企業がこの地方には多くあることが、この地域の産業の特徴になっているようだ。

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