地政学入門―外交戦略の政治学 (中公新書 (721)) の感想

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タイトル地政学入門―外交戦略の政治学 (中公新書 (721))
発売日販売日未定
製作者曽村 保信
販売元中央公論社
JANコード9784121007216
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 政治 » 政治史・比較政治

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 米ソ冷戦という一時代前の構図を前提にしているだけに、記述に時代錯誤があることは否めないが、逆にそれだけに地政学という学問の柱となる概念が、一向に古びないものとなっていることにも感心させられる。本書と合わせてブレジンスキーの「世界はこう動く」やキッシンジャーの「外交」のような書物を読めば、本書に示された地政学の基本概念が、米ソ冷戦期以降の米国流ネオ・レアリズム的国際関係論にどのように受け継がれ、展開されているかを理解することができるだろう。

 具体的内容としてはまず第一章にてヘルダー→チェーレン→マッキンダーという政治地理学の系譜の中から、一段実践的応用の学としての地政学が如何にして浮上してきたかが示される。マッキンダーは地政学的概念中もっとも著名なものである、〈ハートランド〉概念の提唱者であるが、イギリス人らしくこのハートランドの圧倒的な力を、この地域をめぐる独露両大国の抗争を統御しつつ、外縁のシーパワーがどのように抑え込むかという視点に彼の 〈ハートランド〉論の要諦はある。彼のこうした展望をふまえ、第一次大戦後ヴェルサイユ体制下の東欧における-独露両大国間の緩衝国としての-多数の国民国家の自立が構想された点も興味深い。またハートランド(東欧~ウクライナ)の制圧と、西欧への進出という二つの地政学的野心に、ドイツ自身が常に分裂していること、こうした強大なドイツを抑え込むためシーパワーとしての英国とシーパワー勢力の世界島への橋頭保としてのフランスが常に協力し合うことが必要であること(先日エマニュエル・トッドが別の本でこのことを強調していて驚いた)、など今日の欧州情勢を考えるうえでも基礎になる卓見に満ち溢れている。

 第三章においては英国人マッキンダーと並び称される地政学の泰斗米国人マハンやその継承者ともいうべきスパイクマンの理論が紹介される。マハンの理論もまたマッキンダーのそれと同様にハートランドの勢力による世界島の制覇をいかに阻止するかを主眼とするが、アメリカ大陸をシーパワーの巨大な策源地として確立しつつ、世界島に対する橋頭保としての〈リムランド〉と連携しつつ、〈ハートランド〉を押し包むという、後年米国の対ソ〈封じ込め〉戦略として具現化するものが既に明確に提示されている点に驚かされる。

 「地政学」の本を読みたくて、初めて手に取った本ですが、良いです。 入門書としては最適では、地政学の開祖

マッキンダー(英国)の海洋国の外交戦略の基礎としての大陸との関係の捉え方、彼の考え方が後の国際連盟、

NATOに繋がっていたとは・・・、ドイツのハウスホーファーの地政学、アメリカのモンロー主義にいたる変遷が

わかり易く纏められています。

 日露戦争に到るロシアの満州進出がドイツに後押しされていた事、シベリア鉄道がフランス資本の資金協力で建設

されていた事はこの本を読むまで知りませんでした。 日本は歴史上、大陸の中国との関係で捉えがちですが、より

広い世界観で捉えていく必要を感じました。

 日本は海洋国家であり、海上貿易によって成り立っていることは英国と同じで、第二次大戦までの大陸進出やドイツ

との同盟等が、地政学的に考えて間違いだったといえるので・・・、

 この本を読んだことによって国際関係の記事の読み方が変わりました。

国際関係を理解する上での必要な基礎知識だと思います。

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