昭和最後の日: テレビ報道は何を伝えたか (新潮文庫) の感想

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タイトル昭和最後の日: テレビ報道は何を伝えたか (新潮文庫)
発売日2015-07-29
製作者日本テレビ報道局天皇取材班
販売元新潮社
JANコード9784101260112
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » マスメディア » ジャーナリズム

購入者の感想

昭和63年後半から年末、そして昭和64年1月7日まで。あの時代をリアルで知っている世代の私は、当時の様々な報道や「自粛」、何となく落ち着かない日々を今も思い出すことが出来る。

昭和64年1月7日。毎日帰りが遅く疲れ切っていたため、目覚めたのは多分朝10時くらい。テレビもつけずにいて、何か食糧を買い出しに行こうと出かけた先で号外が配られているのに出くわした。私はそこで初めて、昭和天皇のご崩御を知ったのだった。

この本では、昭和62年夏から昭和最後の日までが書かれている。あの当時の報道の裏では、これだけの人員が動いていたのだということがよくわかる1冊だったし、当時の詳しい事情もよく理解できた。当時を余すところ無く書いたいい本だと思う。

…ただ、スクープを取るためのなりふり構わない姿勢には、私はやはりいささかの不快感を禁じ得ない。特に、陛下の治療に全力で当たっていた高木侍医長とそのご家族が、貼り付いたたくさんの記者達によってどれだけ生活を脅かされ、神経をすり減らしたか。それを想像すると本当にお気の毒でならない。

高木侍医長は、大きな責任を背負う立場として不眠不休の日々が続いたと思う。それなのに、やっと家に帰ってくると今度は取材責めに遭うわけだ。心も体も休まる暇はなかったと思う。よく倒れずに職務を遂行されたと思う。

また、ご家族。張り番の記者達に、朝になると高木侍医長の夫人や娘さんが熱いミルクティーやスープを出してくれたりという心遣いが、冷え切った張り番の記者達の心を温かくしてくれた、というエピソードが書いてある。記者側からすれば心温まることだったろう。しかし、毎日家の前に記者に貼り付かれて心休まる暇もなかったご家族の心は誰が救ってくれたというのか。

これは侍医長に限らず、当時治療に携わった他の医師達、宮内庁の関係者も同じ立場に立たされたと思う。

報道は大事だと思う。しかしそのために、取材される側の日々の生活が踏みにじられることがあって良いのだろうか。これはいつも問題になることだと思うが、この本を読んであらためて考えさせられた。

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