一神教の誕生-ユダヤ教からキリスト教へ (講談社現代新書) の感想
参照データ
タイトル | 一神教の誕生-ユダヤ教からキリスト教へ (講談社現代新書) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 加藤 隆 |
販売元 | 講談社 |
JANコード | 9784061496095 |
カテゴリ | 人文・思想 » 宗教 » キリスト教・ユダヤ教 » キリスト教一般 |
購入者の感想
他のレビュアーの皆さんも書かれている通り、「誕生」については余り書かれていない。
一神教として誕生したことはユニークではないが、一神教であり続けたことはユニークで、それは歴史的要因による、という解説は明晰で分かりやすい。
しかし、著者にとってユダヤ教が一神教として確立する過程を描くことは、準備作業に過ぎない。
この書の目的は、一神教としての性質がキリスト教に受け継がれた後、どのように維持され、また変容したか、を描くことだったように思われる。
ところが、記述対象がキリスト教に移ると、次第に筆の進みがぎこちなくなる。
教会における「人による人の支配」の誕生の経緯は熱心に跡付けられるが、成立したそれへの評価にはやや過度に慎重になっているように思われるし、三位一体の教義の種明かしの一歩手前に迫りながら、あえて踏み込まない。
これは紙幅の関係だけのようには思えない。
新書らしい啓蒙書というよりは、誠実な思索の書であり、読む価値のある本。
一方で、欲求不満は残るし、新書としてはやや多いページ数(289ページ)以上に、読み通すのにやや骨の折れる本。
一神教として誕生したことはユニークではないが、一神教であり続けたことはユニークで、それは歴史的要因による、という解説は明晰で分かりやすい。
しかし、著者にとってユダヤ教が一神教として確立する過程を描くことは、準備作業に過ぎない。
この書の目的は、一神教としての性質がキリスト教に受け継がれた後、どのように維持され、また変容したか、を描くことだったように思われる。
ところが、記述対象がキリスト教に移ると、次第に筆の進みがぎこちなくなる。
教会における「人による人の支配」の誕生の経緯は熱心に跡付けられるが、成立したそれへの評価にはやや過度に慎重になっているように思われるし、三位一体の教義の種明かしの一歩手前に迫りながら、あえて踏み込まない。
これは紙幅の関係だけのようには思えない。
新書らしい啓蒙書というよりは、誠実な思索の書であり、読む価値のある本。
一方で、欲求不満は残るし、新書としてはやや多いページ数(289ページ)以上に、読み通すのにやや骨の折れる本。