ピアニスト フランソワの〈粋〉を聴く の感想

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参照データ

タイトルピアニスト フランソワの〈粋〉を聴く
発売日販売日未定
製作者舩倉武一
販売元アルファベータ
JANコード9784871985833
カテゴリエンターテイメント » 音楽 » クラシック » 演奏家・指揮者・楽器

購入者の感想

私の音楽の師である某氏(音楽評論家、1960年頃までは田中希代子のマネージャーでもあった)から、サンソン・フランソワの印象はあまり芳しくない、と聞いたことがある。それは来日時の印象が良くなかった、という意味だ。だが吉田秀和が100歳のころに書いたデビュー時のフランソワへの批評を読んだときには深く頷き、「彼の初期のショパンはいいよ」と言った。ムラっ気のある天才小僧、酒と女に溺れなければ……と付け加えて。グールドとはまた別種の天才なのである。
上記の先入見をもってフランソワの(ショパンではなくドビュッシーの)CDを聴き、さらに(まさに本書に対極として言及されている)ギーゼキングのCDを聴いたことがある。素人の耳にはギーゼキングに軍配を上げざるを得ない。だが、魅力というベクトルの比較ならば、フランソワの肩をもちたい気もするのである。
本書の凄いところは、著者はフランソワの熱烈な信奉者であることを標榜しながら、けっして一方的に盲目的な愛を述べ立てないことである。たとえばフランソワの演奏についても「いきなりふらふらと酔っぱらったような、揺らいだ感覚」という、きわめて素直な感想を書く。ある高名な音楽家(名を伏せているが、おそらく園田高弘)による「ウソばっかり弾いている。何といい加減なふざけたピアニストだ」という酷評(いや、罵倒か)も包み隠すことが無い。それを受けて、なおもこう書くのである。「だからこそ……大きな魅力に溢れている」。ドビュッシーを例にとるなら、フランソワの演奏は音楽に対する想像力の自由度が高い。明晰であり雄弁なミケランジェリやボリーニには制約を感じる、というのである。これには同感せざるを得ない。偏愛ではなく、冷静な分析である。

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