量子力学〈2〉 の感想
参照データ
タイトル | 量子力学〈2〉 |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 朝永 振一郎 |
販売元 | みすず書房 |
JANコード | 9784622041054 |
カテゴリ | ジャンル別 » 科学・テクノロジー » 物理学 » 理論物理学 |
購入者の感想
量子力学は、ニュートン力学や電磁気学と異なり、通常の感覚が通じないミクロの世界に適用される学問であるため、優れて数学的な装いをたたえている。そのため、始めて量子力学を習う物理の学部生にとって、本質的な物理を見失ってしまう恐れがある。ディラックの量子力学のようなスタイルの、公理から演繹するようなタイプの本が最近多いが、これらの本は量子力学が明瞭に理解された後に書かれたせいか、整理されすぎ、数学的にエレガントになっている分、初学者には、その数学の物理的意味がかえってわかりにくい。その点、朝永先生自らの手になる本書は、量子力学の歴史をたどるスタイルが少し古くさく、かつ泥臭い印象を与えるが、先生自身が、自分の目の前にいて、考えて考え語りかけてくれているような感じがあり、非常に物理をとらえやすい。私も量子力学が分からず、苦しんだ時期があったが、この本を読むことでかなり理解が進み、名著だ、と思った。量子力学を学ぶ者は、同書の上巻はとばしても差し支えないが、まずこの下巻は確実に読破すべきであろう。この本の後で、ディラックやJ.J.Sakuraiを読むと良いだろう。