紅葉する老年――旅人木喰から家出人トルストイまで の感想
参照データ
タイトル | 紅葉する老年――旅人木喰から家出人トルストイまで |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 武藤 洋二 |
販売元 | みすず書房 |
JANコード | 9784622079255 |
カテゴリ | 本 » ジャンル別 » 文学・評論 » エッセー・随筆 |
購入者の感想
本文約250ページの6割に当たる150ページ余りを充てて克明に記述される「トルストイ82歳」は本書の圧巻だ。トルストイの紅葉期のいささかの譲歩も見せない激しい燃え方に圧倒された直後に、「あとがき」で「生死の運命に心をわずらわせ、命をすり減らすのは愚かであり、この一番卑俗な変種が、死を恐れて単なる長寿を人生の最高目的にする生き方である」と著者に駄目押しされてしまうと、もうこれはおとなしく頷くしかない。ではどのようすれば一般人は「紅葉人」を目指すことができるのか。著者が与えてくれた手がかりを次のように汲み取ったがどうだろうか。1万事自分でやり、自分で考えるという命と脳のトルストイ的使い方で人生の後半を進んで行くと、命も脳も干からびることはないので、老年が砂漠にならない。2老いたゴヤやレンブラントやファーブルのようにいつまでも陽気さを失わない。