福島の原発事故をめぐって―― いくつか学び考えたこと の感想

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タイトル福島の原発事故をめぐって―― いくつか学び考えたこと
発売日販売日未定
製作者山本 義隆
販売元みすず書房
JANコード9784622076445
カテゴリジャンル別 » 科学・テクノロジー » エネルギー » 核・原発問題

購入者の感想

ここに書かれていることは単なる反原発、脱原発論ではない。16世紀文化革命に端を発する近代の科学技術の行きついた先としての原子力技術を位置づけ、それがそれまでの技術と異なって無害化ができない点で不完全な技術でしかなく、原子力をこのような形で我々の世代で扱うことが子孫に対する犯罪であることをコンパクトに演繹している良書であると思う。

書かれていることはすべてどこかで述べられ、語られて来たことには違いないが、このような構成で事実関係を整理し、淡々とした語り口の中に鋭い洞察を加え、原発の政策や技術に関する本質を抉りその結果・結論を明快に述べることができるのはこの著者ならではと思われる。

1.日本における原発開発の深層底流では、よく言われている米国による原子力の平和利用推進の意図と、日本における政治的意図が事実に即して語られ、そこに日本における原発と核燃料サイクル推進の底流があるとしている。(尤も現実には結局その仕掛けを作った政治家達は今は亡く、それを操る外交政治家もついには現れず;筆者の意見)、終章では、その利権に群がる政・官・財が権力のモンスターとなって何の掣肘も受けず推進してきた結果が福島の惨状と説く。

2.技術と労働の面からみて、は設計技術者の端くれの私から見てもその通りと思う。それを扱うには未熟なもので設計的に安全・安定なものにはなり得ないこと、廃棄物の無害化の技術はなく、数十万年に亘って安全に管理することが求められる不完全な技術でしかないことなど多くの技術者の告発と共に一方で労働安全を無視して遮二無二推進されてきたことなど、的確な引用によって語られている。

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みすず書房から発売された山本 義隆の福島の原発事故をめぐって―― いくつか学び考えたこと(JAN:9784622076445)の感想と評価
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