クララ・シューマン ヨハネスブラームス 友情の書簡 の感想
参照データ
タイトル | クララ・シューマン ヨハネスブラームス 友情の書簡 |
発売日 | 販売日未定 |
販売元 | みすず書房 |
JANコード | 9784622077275 |
カテゴリ | エンターテイメント » 音楽 » クラシック » 19世紀以後 |
購入者の感想
心ない言葉の暴力にうちひしがれたとき、この本を読んでいてよかった。本書はClara Schumann (1819-1896)とJohannes Brahms (1833-1897)との間に交わされた大量の書簡から200余点を選び、時間の順に並べた本である。1950年の翻訳を復刻。何より美しい装丁が新装版の大きな特長である。
最初は若きブラームスがクララへ寄せる激しい愛情に対するクララの警戒心がはっきりと読み取れる。しかし次第に力関係(と言っていいか)が逆転して、クララがブラームスを頼り、ブラームスが彼女を庇護する構図へと変わったように思える。いずれにせよ、病身を押して苦難に立ち向かいピアニストとしての名声を終生保ったクララと、クララの夫シューマンの後押しで大作曲家への道を歩んだブラームスとの友情は、ときに波乱含みではあっても生涯続いた。
多忙な二人であったのに、驚くべき、膨大な量である。しかもこれでも、本書で紹介されている書簡は全体のごく一部なのである。大量の書簡が本人たちによって破棄された由であるし、また、残された書簡からの選択には当然ながら編者の意図・意向が働いているはずである。そのため学術資料としては不足であるが、的確な注釈により一編の美しい小説のように編まれ、素人の読書には実に快い。私は二人が互いを思い遣る心や、翻訳の些か古風ながら美しい日本語に、慰められた。変わらぬ友情と、品位ある言葉。手紙はいいですね。考え抜いて、言葉を選び、相手を思い遣って書くことの価値。
(以下は誤りを修正した第2版です。初稿の誤りをお詫びして訂正します)
巻末のブラームス作品年表は、1886年出版の交響曲第4番で終わっている。しかしこれは「本書に登場する」作品だけの年表である由。そういえばクラリネット五重奏曲などが載っていない。これは、些か紛らわしい。
最初は若きブラームスがクララへ寄せる激しい愛情に対するクララの警戒心がはっきりと読み取れる。しかし次第に力関係(と言っていいか)が逆転して、クララがブラームスを頼り、ブラームスが彼女を庇護する構図へと変わったように思える。いずれにせよ、病身を押して苦難に立ち向かいピアニストとしての名声を終生保ったクララと、クララの夫シューマンの後押しで大作曲家への道を歩んだブラームスとの友情は、ときに波乱含みではあっても生涯続いた。
多忙な二人であったのに、驚くべき、膨大な量である。しかもこれでも、本書で紹介されている書簡は全体のごく一部なのである。大量の書簡が本人たちによって破棄された由であるし、また、残された書簡からの選択には当然ながら編者の意図・意向が働いているはずである。そのため学術資料としては不足であるが、的確な注釈により一編の美しい小説のように編まれ、素人の読書には実に快い。私は二人が互いを思い遣る心や、翻訳の些か古風ながら美しい日本語に、慰められた。変わらぬ友情と、品位ある言葉。手紙はいいですね。考え抜いて、言葉を選び、相手を思い遣って書くことの価値。
(以下は誤りを修正した第2版です。初稿の誤りをお詫びして訂正します)
巻末のブラームス作品年表は、1886年出版の交響曲第4番で終わっている。しかしこれは「本書に登場する」作品だけの年表である由。そういえばクラリネット五重奏曲などが載っていない。これは、些か紛らわしい。