鄙の宿 (ゼーバルト・コレクション) の感想
参照データ
タイトル | 鄙の宿 (ゼーバルト・コレクション) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | W.G.ゼーバルト |
販売元 | 白水社 |
JANコード | 9784560027738 |
カテゴリ | ジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » ドイツ文学 |
購入者の感想
このゼーバルト・コレクションの最終巻には、ヘーベル、ルソー、メーリケ、ケラー、ヴァルザーといった、いずれも書くという悪癖をやめることができず、不幸になっていった作家についてのエッセイと、かつての学友で精神的同朋ともいえる画家ハンス・ペーター・トリップの絵の分析が収められています。
人生からの敗走ともいえる、それぞれの作家の生涯に並走するかのような論述が「驚くべき精妙さをもって人生を回避する行動障害の消息」を描き出しています。尾形亀之助のことを知っていたらどんな文章を書いただろうな、などと、ありうるはずもない変な妄想が膨らみます。
最後に紹介されている、ハンス・ペーター・トリップの「宣戦布告」という絵の分析が面白く、この画家に興味をもちました(その絵に登場する犬の「私たちを見透かしている」ような眼!)。
入念に選ばれた図像と文章との相互作用による、独自の喚起力ある展開はここでも健在です。
人生からの敗走ともいえる、それぞれの作家の生涯に並走するかのような論述が「驚くべき精妙さをもって人生を回避する行動障害の消息」を描き出しています。尾形亀之助のことを知っていたらどんな文章を書いただろうな、などと、ありうるはずもない変な妄想が膨らみます。
最後に紹介されている、ハンス・ペーター・トリップの「宣戦布告」という絵の分析が面白く、この画家に興味をもちました(その絵に登場する犬の「私たちを見透かしている」ような眼!)。
入念に選ばれた図像と文章との相互作用による、独自の喚起力ある展開はここでも健在です。