ニューエクスプレス ラテン語《CD付》 の感想

※サンプル画像 クリックで拡大します

今からラテン語を独習しようとする人が、その勉強のベースとなる本を、一冊選ぶならこれだと思います。類書に比べて優れている点は、

１．音声CDがついている
２．にもかかわらず安い
３．初学者のための工夫が凝らされたレイアウト
４．薄い

１：古典語といえど、やはり音声はどうしても必要です。音声付でかつ網羅的な参考書は現在も多くありません。
２：古いラテン語参考書は、専門書扱いなのか高いです。比べて本書はCD付きであるのにもかかわらず価格が抑えられています。
３．発行年が新しいので、昔の本のように文字が細かくびっしり並んでいる、ということがありません。見開きで会話＆対訳、その後に文法説明、ほどよいスキマとイラスト等、視覚的工夫が凝らされ、ぱらぱらとめくった初学者に「これなら自分もやれる」というやる気（というか錯覚）を起こさせます。　
４．ラテン語は文法事項（格変化、動詞変化）が多い言語です。よってその参考書は表だらけ説明だらけになるのが常なのに、本書はそれを絞りに絞り、20課に抑えてます（会話2頁、文法説明2頁で、一課あたり4頁）。そうとう無理ですが、初学者に対し「これくらいならやり通せる」という錯覚を起こさせ、その錯覚が続いているうちにやり通させるのには有効です（自分もそのようにしてやり終えました）。一冊やり通した達成感が何より大切だと思うので、薄いことはいいことです。「自分はできる」という根拠のない自信がつき、その後の学習も楽しく続けられます。

そのほか良い点
・数課ごとに練習問題と解答がついています。自分の理解度を確かめることができます。
・「ラテン語名言集」のコーナーがあります。丸暗記して損はない、名言ばかりです。
・巻末に単語リストがついています。出てくる単語はみんなここに載っている、親切設計。

良くない点
・CDが棒読みです。名言も棒読みです（特に女性…声は好きだしドイツ語なまりも個人的には好きで味のうちということもできますが、感情がぜんぜん伝わらないのは欠点だと思います。感情のこもった声は、記憶に強く残ります。記憶のための学習参考書なのだから、考えてほしい）