サッカーと独裁者 ─ アフリカ13か国の「紛争地帯」を行く の感想

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参照データ

タイトルサッカーと独裁者 ─ アフリカ13か国の「紛争地帯」を行く
発売日販売日未定
製作者スティーヴ ブルームフィールド
販売元白水社
JANコード9784560081877
カテゴリ » ジャンル別 » スポーツ・アウトドア » スポーツ

購入者の感想

 サッカーを切り口にして、さまざまな国や地域のありのままの姿を描く手法は決して珍しいものではない。サイモン・クーパーの名著「サッカーの敵」を始め、「サッカーが世界を解明する(How Soccer Explains the World)」(フランクリン・フォア)なる一冊もあるぐらいだ。この本も、原題は「AFRICA UNITED How Football Explains Africa」。
 ただ、特筆すべきは、実際に「サッカー」という手法がアフリカという地域を理解する出発点になっているという点だ。著者は謝辞でこう記す。「ケニアの政治を苦しめる汚職と運営のずさんさは、この国のサッカーも同じようにむしばんでいる。ケニアのサッカーがどのように運営されているかを知るにつれて、僕は政府内の問題も理解できるようになっていった」
 「アラブの春」が訪れるまで独裁的な政治体制が続いたエジプトの主将は「サッカーにあまりに夢中になってしまうために、人々は現実を忘れてしまう。社会的、経済的問題から目をそむけてしまうんだ」と嘆き、紛争状態にあるソマリアでは選手の1人が「サッカーをすることは僕らの唯一の希望なんです」と語る。英雄視されることの多いサッカー選手は、それぞれの国のスポークスマンでもある。
 部族、宗教など複雑な人間関係が絡むアフリカで、外国のジャーナリストが深く入り込むのは難しい面もある。だが、サッカーならば話は別だ。ルポの導入部も、検問所で拘束された著者が英国人であると判明するや、ベッカムの話で盛り上がり、解放されるくだりから始まる。
 その手法を安易と批判するのは簡単だが、著者のサッカーに対する愛情は本物だ。アフリカの人々が自国のリーグではなく、英国のプレミア・リーグにばかり目を向ける現実に心揺れる心情が随所に描かれている。個人的にはひいきのチームが世界規模で人気を誇るマンUやアーセナルではなく、アストン・ヴィラなのもまたいい。

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