音楽の歴史 [改訳] (文庫クセジュ 88) の感想

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参照データ

タイトル音楽の歴史 [改訳] (文庫クセジュ 88)
発売日販売日未定
製作者ベルナール・シャンピニュール
販売元白水社
JANコード9784560050880
カテゴリエンターテイメント » 音楽 » 音楽理論・音楽論 » 音楽史

購入者の感想

音楽史分野の新書では、岡田暁生の西洋音楽史(中公新書)がすでに名著の誉れ高いですが、あれが出るまではこれが新書版通史としては一番良かったと思います。音楽史という学問分野自体がドイツ・ナショナリズムと結びついたものと言われ、通常の音楽史ではドイツ系の活躍が異常に重視されていますが(ドイツ三大Bとか)、この本はフランス人の著作だけあってだいぶフランス寄りの事項選択になっています。実際、音楽史を長いスパンで見れば、中世・ルネサンス・バロックの音楽はフランス・フランドル・イタリアというロマンス語圏が中心であり、ドイツ語圏が中心になり始めるのはようやく古典派の時代であり、バッハはロマン派の時代になってから再発見された人物であり、通常の音楽史がドイツに寄りすぎというのは故のないことではありません。
本書は事項選択がドイツ偏重にならないように結果的に配慮しつつも、古典派以降ではさすがにドイツ語圏に無視できない音楽家が多すぎるため彼らにきちんと触れつつ、さらにフランス系の音楽家の系譜もたどれるように必ずしも有名と言いきれないフランス国民音楽協会のフランク・サンサーンス・フォーレなども取り上げ、昔の音楽の教科書のような音楽史とは一線を画すような音楽史を提示した本で、良くまとまっていてわかりやすく便利な本でした。
難点があるとすれば、ルネサンス以後の時代区分が17世紀・18世紀・19世紀・20世紀と世紀による区分になり、見慣れたバロック・古典派・ロマン派と言った区分との対応がなれない人にはわかりにくいことと、最後がドビュッシーとそれ以降という形で終わっていて現在見るといくらなんでも古すぎるんじゃ…という感想を禁じ得ないことですが、それでもこの本は音楽史を学ぼうとする上で参照すべき一冊であるということは変わらないように思います。

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