狼は帰らず―アルピニスト・森田勝の生と死 (中公文庫) の感想

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タイトル狼は帰らず―アルピニスト・森田勝の生と死 (中公文庫)
発売日販売日未定
製作者佐瀬 稔
販売元中央公論社
JANコード9784122032866
カテゴリジャンル別 » ノンフィクション » 実用・暮らし・スポーツ » スポーツ

購入者の感想

森田勝は、我が身の不遇に対する怒りをぶつけるため、情熱の全てを山に賭ける。
その執念は、恐ろしいほど激しい。特に、「谷川岳滝沢第三スラブの積雪期初登攀」神話はすさまじい。
金銭的理由で山岳会の海外遠征に同行できない悔しさを晴らすために、登り尽くされた谷川岳のバリエーションルートの中から誰も見向きもしない危険だけのルートで初登攀を為す。
山以外での社会生活は困窮を極め、何人かの友人(ザイルパートナー)も去っていく。
それでも、着実に努力し続け登山家としての地位を築いてゆくが、彼の後世は不運続きだった。
1 初めての海外遠征では一冬に三大北壁(アイガー、マッターホルン、グランドジョラス)を一機に登ろうと試みるが、最初のアイガーで隊員の怪我のため敗退
2 第二次RCCエベレスト登山隊に選抜され、秋季南壁ルート登頂を狙うも、悪天候による隊の方針変更で敗退
3 K2では1次アタック隊の人選に漏れ、個人的感情から勝手に下山してしまうという、規律違反を犯してしまう。
4 そして、長谷川恒男を意識し続けたグランドジョラスである。
彼の三大北壁登攀の動向に刺激され、彼より先のグランドジョラス初登を狙うが、瀕死の重症を負い敗退する。
そして、あきらめきれずに自身のため翌年再挑戦するも、遂に命を落とすのである。
激しく彼を突き動かしていた山への執念は、常人の想像を超えたものである。
夢枕獏著「神々の山嶺」の羽生は、森田がモデルであろう。
森田の人間臭さ、執念に、現代人の忘れ去った何かを感じさせられる。

ブロンソンの映画のようなタイトルだけど主人公はブロンソンよりすごかった!森田勝を知らずに読んだけどぐいぐい引き込まれて一気に読み終えてしまった。
小説「神々の山嶺/夢枕獏」の主人公羽生がこの人をモデルにして書かれたとすぐわかった。
人はいくら好きなことでも生活のすべてをなかなkそれに懸けることはできない。年を取れば取るほどそうなってくる。
しかし森田勝は違った。
純粋すぎるほど山に自分のすべてをそそいだ。時にはその純な気持ちが周りを傷つけているのにも気付かず孤立してしまったりもする。
森田を避けていった人たちも心の底ではそこまで情熱をもてる森田をリスペクトしているのだけど。

そんなはぐれ狼も35歳で恋をして結婚することに。山からその恋人に当てた手紙の一部が紹介されてたけどめちゃくちゃロマンチックだった。この辺になると読んでる人は多分森田ファンになってるのでこっちまでうれしくなってくる。
自分が助かるためならパートナーが死んでもザイルを切る!と言い放ってた男は後輩の面倒を見たり登山中骨折したメンバーのために泣いたりしている。徐々に森田勝が変わっていく様子がよくわかる。
しかし!結婚してからの数年間は子供もできて平和に暮らしていたが40歳を超えて森田の中の獣が目を覚ました。

そして狼は再び生死をかけた戦場へ戻っていく・・・・

残された家族はたまらないだろうけど登山家として、男としてはやっぱりかっこいいと思わずにはいられない。
男なら必読書の1冊と断言します。
「神々の山嶺」の小説と漫画もぜひ読み返そうと思います。0

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