物語イタリアの歴史―解体から統一まで (中公新書) の感想
参照データ
タイトル | 物語イタリアの歴史―解体から統一まで (中公新書) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 藤沢 道郎 |
販売元 | 中央公論社 |
JANコード | 9784121010452 |
カテゴリ | » 本 » ジャンル別 » ノンフィクション |
購入者の感想
中公新書「物語各国史」、イタリアの巻は西ローマ帝国の崩壊からカブールによる統一に至るまで、この国の1500年に及ぶ歩みを対象としています。皇帝フェデリーコ(フリードリッヒ2世)やコジモ・デ・メディチ、さらにはカサノーヴァなど、イタリア史の各時代を彩った著名人士10名を登場させ、かれらの生涯を通じて時代時代のパースペクティブを説き明かそうとしています。
語り口は極めて平易であり、扱われている事案・事件の類もメジャーなものばかりですが、政治・経済・社会・文化の各分野を総合的な「ヴィジョン」として鳥瞰していく手法は見事というほかなく、久しぶりに歴史読書の楽しさを堪能できました。
筆者によれば、もともとイタリア語では「歴史=物語」なのだそうです。しかるに昨今、歴史学はイデオロギーとミクロの実証主義が専横を極め、ストーリー性は影を潜めざるを得ない有様です。そうした中、本書は、いわば歴史の原点たるべき「過去の時間を物語によって秩序づけ、それを未来に向けて語り継ごうとした長い伝統」への回帰に向けた「手探りの試行」として、見事成功を収めたものと言えましょうか。
歴史の楽しさを実感できるという観点から、特に若い人たちにおススメしたい一冊です。
語り口は極めて平易であり、扱われている事案・事件の類もメジャーなものばかりですが、政治・経済・社会・文化の各分野を総合的な「ヴィジョン」として鳥瞰していく手法は見事というほかなく、久しぶりに歴史読書の楽しさを堪能できました。
筆者によれば、もともとイタリア語では「歴史=物語」なのだそうです。しかるに昨今、歴史学はイデオロギーとミクロの実証主義が専横を極め、ストーリー性は影を潜めざるを得ない有様です。そうした中、本書は、いわば歴史の原点たるべき「過去の時間を物語によって秩序づけ、それを未来に向けて語り継ごうとした長い伝統」への回帰に向けた「手探りの試行」として、見事成功を収めたものと言えましょうか。
歴史の楽しさを実感できるという観点から、特に若い人たちにおススメしたい一冊です。