1日ひとつだけ、強くなる。 世界一プロ・ゲーマーの勝ち続ける64の流儀 の感想

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タイトル1日ひとつだけ、強くなる。 世界一プロ・ゲーマーの勝ち続ける64の流儀
発売日2015-07-10
製作者梅原 大吾
販売元KADOKAWA/中経出版
JANコード9784046006417
カテゴリ »  » ジャンル別 » ノンフィクション

購入者の感想

フランスのStunfest2015にて。
ももちを下して優勝したウメハラは、すっと立ち上がって静かに握手を交わしていました。
拳を突き上げて喜びを表出させる訳でもない。
トロフィーを受け取った後は微笑を浮かべるだけで、粛々と閉会式をこなしてました。
「もう少し嬉しそうにしたら?」
そんな反応が観客から出てくる程、ウメハラさんには一喜一憂が見られない。
けれど、その佇まいの理由は本書を読むとよくわかる。

一冊目の『勝ち続ける意志力』から今に至るまで、幾度も繰り返されてる主張がある。それは「大会で燃え尽きるな」。
今回は「燃え尽きるのはアマチュア。同じ姿勢で走り続けるのがプロ」と言い切ってる。
妙な話ですが、ウメハラさんにとって世界大会は"遊び"で、普段のゲームセンターでの練習こそが本番なんだ、と思わされる内容だ。

「大会を目標にしない」「成長のためにハードルを下げる」「背水の逆転劇は重要じゃない」
こんな違和感を覚えそうなフレーズでも、一章から六章まで読み通せば、あぁそういうことね……と納得する。
読了後、フランス会場のステージで優勝の余韻を味わってなさそうなウメハラさんを見る。
もう彼は次の日のことを考えてそうで、頭の中では新宿のタイトーステーションが浮かんでるのかもしれない。
ガッツポーズするとしたら、誰の目にも留まらない場面で、ウメハラさんは心の中でやるんだろうな、と。

P.202の格ゲー話が、意外でおもしろい。
日本の大会だと、プレイヤーの参加費を賞金にあてれば賭博罪のおそれがあるし、ゲーム会社が高い賞金を出せば景品表示法に抵触するかもしれない。
だからe-Sports発展のために法律変えなきゃダメだよね……って文脈になりがちですが、ウメハラさんはポジティブな面を語ってて意外だった。
簡潔にまとめると、「賞金が出ないおかげで、格ゲープレイヤーは情報を隠さない。よって日本の環境は世界一」。

日本初のプロゲーマーであり、今なお格闘ゲームの第一線で特別な瞬間を生み出し続けている"ウメハラ"こと梅原大吾氏の3作目。

ウメハラ氏の文体はとても素直で読みやすく、過去の自分を振り返るときにも全く飾り気がありません。
過去の自分の体験、当時持っていた見栄や思い込みなどを素直にポンと示し、そこから自分が得たことをつづっています。

過去2作と同様、通底している考え方は、
「短期的に出てくる結果にとらわれすぎない、自分自身が日々成長していくこと自体が目的であることを忘れない」というもの。
これは多くの競技者が採用する「ひとつの目標を定めて努力し、達成したら次の目標を定める」というモデルとはかけ離れており、
特に面白い部分だと思います。
その芯となる部分は変わっておらず、過去2作との内容の重複はあるといえばあるでしょう。

しかし、他のゲーマーの取り組みを観察していて思ったことや、
ウメハラ氏が特別な試合を作り上げたときに考えていたことなど新たなエピソードも豊富で、
過去2作を読んでいる自分でも非常に満足度の高い1冊でした。

最後に、ウメハラ氏独特の考え方がよく現れている、特に気に入った一節を紹介します。
「勝つだけで人生は変わらない。勝つだけで怠惰な自分、情けない自分、ズルい自分が全部チャラになって人生が豊かになるなんてこともありえない。」

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