リヒテルは語る (ちくま学芸文庫) の感想

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参照データ

タイトルリヒテルは語る (ちくま学芸文庫)
発売日販売日未定
製作者ユーリー ボリソフ
販売元筑摩書房
JANコード9784480096142
カテゴリエンターテイメント » 音楽 » クラシック » 演奏家・指揮者・楽器

購入者の感想

リヒテルが「語る」、という。何を? どんなふうに? 

リヒテルという名前は、クラシック音楽愛好者にとって、特別な響き、輝きを持っている。
独学でピアノ演奏を習得した後、名伯楽ネイガウスの教え子となる。
長らく鉄のカーテンの東側で知られざる存在だったが、
ベートーヴェンのテンペストでアルバムデビューし、
カーネギーホールなどのアメリカ公演は、絶賛で迎えられる。

大ホールでのコンサートよりも、旅を重ねる中での小ホールコンサートを愛し、
膨大なレパートリーを持ちながら、まとまった全集録音はほとんど行わなかった。

この本を読むまで、「語るリヒテル」というのは想像ができなかった。
しかしここでリヒテルは、文字通り語っている。
著者の横で、ピアノの前で、散歩しながら、語り続ける。

音楽史を飾る作曲家たちやクラシック音楽についてはもちろんのこと、
ドストエフスキー、トーマス・マン、ゴーゴリー、シェイクスピア、プルースト、
ヴァン・ゴッホ、ルノアール、パゾリーニ、コクトー、クロサワ、演劇、建築、夢、空想。
間断なく次から次に、彼の連想の中で様々な事柄がつながっていく。

散歩の途中、突然立ち止まり、空を見上げ、

「青。第4番嬰ヘ長調ソナタは、青」と、つぶやく。

これは空の青さからの連想。スクリャービン・ソナタ。

彼の中では、そんな風に豊富な情報が渦を巻いていて、
それがあのピアノ演奏になっていた。

それらは読んでいて刺激的で楽しいが、演奏そのものとは一線を画している。

あくまでも演奏は演奏で、それ自体の輝きの中にある。

「ベートーヴェンの第32番ソナタは、舞台に出て椅子に座るやいなや即座に
弾き始めなくてはダメだ。気が狂ったかのように(第4章 人間とピアノ)」

これは単行本の文庫化。単行本の装丁は、造本の名手・菊地信義氏によって仕上げられている。

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