サバイバー・フェミニズム の感想

アマゾンで購入する

参照データ

タイトルサバイバー・フェミニズム
発売日販売日未定
製作者高橋 りりす
販売元インパクト出版会
JANコード9784755401077
カテゴリ文学・評論 » エッセー・随筆 » 著者別 » た行の著者

購入者の感想

 アメリカの大学院で指導教官からセクハラを受け、帰国後に日本のフェミニズム団体から支援を得ようとした者がそれを拒絶され、あまつさえ「裁判を起こさなかった」ことで逆に非難される…。本書はこうした著者の実体験をふまえて日本のフェミニズム運動の姿を再検討しようとするエッセイです。
 日本のフェミニズム運動はなぜサバイバー(セクハラの被害を受けた人)の声を聞かないのか。あくまで運動の主役は分析や提案を行う専門家であり、サバイバーはその添え物に過ぎないような扱いを受けてきたと著者は言います。「サバイバーの話は整理されていないから聞けない」「生々しすぎていたたまれない」こうした支援者たちの姿は、著者には理解できません。まるで「被害者はこうあるべきだ」「こうした行動だけがセクハラをなくすのだ」と言わんばかりのフェミニストたちは、「男による抑圧」を押しのけながら「フェミニズムという抑圧」を生み出しているのではないか、という考えが著者の脳裏を巡ります。著者高橋りりすが主宰する演劇に対して寄せられたフェミニズム団体の非難「あなたの演劇にやせた女しか出てこないのはけしからん。やせた女という価値観は男が作り出したものだから、太った女だけを出すべきだ」という者は、極端な例とはいえ日本のフェミニズムの歪みを浮き彫りにしているのではないか、というのです。
 まるでスポーツのサポーターのように運動に加わる支援者たちに対する違和感が、実に巧みに描かれています。「勇気を持って」裁判を起こすことだけがフェミニズムだと考えられてしまう、その偏狭さが持つ圧力。被害者に対して協力しているように一件みえながら、実はますます追い込んでしまうという実情が、さらにサバイバーたちを苦しめている。だからこそ著者は「サバイバーよ、勇気を出すな」というのです。あなたが生きている、まさにそのことがあなたの勇気を示しているのだから。

あなたの感想と評価

コメント欄

関連商品の価格と中古

サバイバー・フェミニズム

アマゾンで購入する
インパクト出版会から発売された高橋 りりすのサバイバー・フェミニズム(JAN:9784755401077)の感想と評価
2017 - copyright© みんこみゅ - アマゾン商品の感想と評価 all rights reserved.