かけがえのない、大したことのない私 の感想

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タイトルかけがえのない、大したことのない私
発売日販売日未定
製作者田中 美津
販売元インパクト出版会
JANコード9784755401589
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 女性学 » フェミニズム

購入者の感想

70年代のリブ運動で活躍し現在は鍼灸師である著者の、90年代以降のインタビューや短文を構成した本です。身体、女性問題、世相などが平明、簡潔に、切り口鋭く、語られています。
一読して楽しくなるくらい痛快なキーワードが満載でした。『制度や体制が変われば、人間幸せになれると考えるほど、私はノーテンキじゃない』、『自分を肯定できない人は自分より可哀相な人間を必要とする』、『自分の中がスカスカの人間ほど、断言口調の強いリーダーを欲しがる』etc。そう言いながらも著者は、自分を客観視することに執拗にこだわり続け、それがまた説得力を増しています。
でも幾つか違和感も感じます。ひとつは巻末の『解説にかえて』。谷川雁をモティーフに著者を述べた記事が転載されています。そのカチカチに硬い文章はしかし、著者のスタンスを的確に表現しているようには思えます。だからこそ、それが的確であればあるほど本文の痛快さは失速していく様に感じるのです。
もうひとつは著者の物言いに時折感じる『不自由さ』。自縛のフェミニズムを脱した著者は、今度は自らの欲望に忠実であることに自縛されているようにも思えます。例えばこの本に採録されたミュージカルの台本。時代性もあるでしょうが全く面白くない。確かに初期衝動には美しさがあります。時には『野蛮』も有効。しかし剥き出しな野蛮はエレガントではないですね、何よりも自分に対して。著者の欲望に対するナイーブさに、私は若干 息苦しさを感じるのも事実。

だけど、この本は読むだけで元気が出てきます。そして読者一人一人を穏やかに?挑発します。それにより著者はリブの思想は女にとってはもちろん、男にとっても、今も有効性を失っていないことを証明しているようです。
あるシンポジウムで著者は自分の発言をこのように締め括っています。『女と言うだけで(他人と)繋がりたいとか、そんなことは思ったこともありません。どうも!(拍手)』 
私も拍手! 失礼ながら団塊の世代の皆さんには著者の爪の垢でも煎じて飲んで欲しかったりして(笑)。

どんなトラウマを受けようとも、かけがえのない私であることには変わりはないということが著者の体験を通じて語られています。暖かいメッセージだと思います。大したことのない部分も大切な私の一部だと思えるようになったらいいなと思いながら読みました。

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