家族のゆくえ (知恵の森文庫 a よ 4-2) の感想

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参照データ

タイトル家族のゆくえ (知恵の森文庫 a よ 4-2)
発売日2012-07-12
製作者吉本隆明
販売元光文社
JANコード9784334786076
カテゴリ »  » ジャンル別 » 文学・評論

購入者の感想

現代思想=ニューアカ(デミズム)にかぶれていた学生時代、吉本隆明の「共同幻想論」「言語にとって美とは何か」は必読の書だった。なにせ、現代思想の推奨図書に入っているのだから仕方ない、僕も買った。しかし最後まで読み通せなかった。難しすぎた。それはルサンチマンになった。

この本、通勤の地下鉄の中でむさぼり読んだ。ルサンチマンを解消できた。吉本のすごさがわかった。老年というのがどういうことか何となくわかるような気がした。吉本は今年82才。この人が永年考え続けてきたことを82才になる今でも持続的に考え続け、自分の人生経験とシンクロさせながら更に深化させているということはすごいことだ。この本で僕は、人生の各ステージが如何にあるべきか、子育てとは何か、夫婦のあり方とは何か、老年とはどういうことか、就中家族とはどういうことなのか、と実に多くのことを教えられた。

この本の最終部分は補註として「共同幻想論」から「対幻想論」が収録してある。この構成を考えたのは吉本自身か編集者か知らないが、すごいことだ。「家族のゆくえ」で吉本が語ったことが有機的に繋がりあって今の僕には「対幻想論」が理解できる。何よりすごいのは吉本が若き日から同じ事を考え続け、中心支柱がぶれていないことだ。こういう人生もあるんだなあと思った。

ぼんくらの僕はやっとわかった。人間に関わることへの興味関心が吉本の源泉なのだ。だから詩で人間を表出する、漱石他の文芸から個人と家族と共同体の関わりを読みとる、また、思想というのはまさに人間そのものだから、文芸とも詩とも民俗学とも、そしてサブカルチャーとも全て連関しているということなのだろう。

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