講演集 リヒァルト・ヴァーグナーの苦悩と偉大 他一篇 (岩波文庫) の感想
参照データ
タイトル | 講演集 リヒァルト・ヴァーグナーの苦悩と偉大 他一篇 (岩波文庫) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | トーマス・マン |
販売元 | 岩波書店 |
JANコード | 9784003243480 |
カテゴリ | 文学・評論 » エッセー・随筆 » 外国のエッセー・随筆 » ドイツ |
購入者の感想
この本のタイトルになっているミュンヘン大学での講演は1933年初めに行われ、その後ヴァーグナー没後50年記念行事出席のためヨーロッパ旅行に出かけたたマンに亡命生活を強いる結果となった。この本にはもう一つ1937年に行なわれた講演が収められている。いずれも、単にナチスによるヴァグナー芸術の歪曲と悪用を批判しているだけでなく、むしろ天才論として普遍性を持っている。さすがは文豪の講演だけあって表現に無駄がない。
自身が文学における紛れもない天才であるマンが、ヴァーグナーは「天分」よりも意志によって天才だったと述べる時、その言葉の重みは凡百の「~論」に勝る。『トリスタンとイゾルデ』にショーペンハウアー哲学の影響を指摘したり、ヴァグナーの地道で苦渋に満ちた創作を語るマンの言葉には、彼自身の創作者としての姿も反映されているようだ。
自身が文学における紛れもない天才であるマンが、ヴァーグナーは「天分」よりも意志によって天才だったと述べる時、その言葉の重みは凡百の「~論」に勝る。『トリスタンとイゾルデ』にショーペンハウアー哲学の影響を指摘したり、ヴァグナーの地道で苦渋に満ちた創作を語るマンの言葉には、彼自身の創作者としての姿も反映されているようだ。