「反原発」異論 の感想

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参照データ

タイトル「反原発」異論
発売日販売日未定
製作者吉本 隆明
販売元論創社
JANコード9784846013899
カテゴリ »  » ジャンル別 » 文学・評論

購入者の感想

未刊に終わった「ニッチ」の原発事故についての吉本への三上治ロングインタビューが当然ながら載ってない。ほとんど手がくわえられてないそのインタビューでは実感のないことはわからないとして、実際自分の家の近くに原発ができたら嫌だろうという以前からの意見とからめてイデオロギー的に原発推進に固執しているわけではないことをかたっている。
この書収録のインタビューもおかしな点がめにつく。「吉本さんは若い頃から宮沢賢治を読み続けてこられ、唯一批判したことのない存在とおっしゃるほど親しんでおられます。」とあるが、『悲劇の解読』の宮沢賢治批判を読んだことがないのは仕方ないとして、インタビュアーにさして信頼がおけないバイアスがかかっていることをうかがわせる。
ただ政治的な判断として現状のようになることに吉本は見通しがあったのではないかと思う。

 東日本大震災の後に書かれたこの書物を読んだ読者は著者に反感を持たれた読者も多かったことと思われます。しかし、著者は現地に赴いて視察できるような健康状態ではありませんでした。著者の思考は、無限思考とでも呼ぶのが相応しく、銀河系まで及んでいます。宮沢賢治の思考が吉本に多大な影響をあたえているのがよく分かりました。一人ひとりの人間の営みは無限小であり、科学技術の発達はそのごく微細な一部であると。核エネルギーの解放は同時に人間による核エネルギーの制御を必要とします。著者はこの点に関しては制御可能であるし、また制御しなければならないものと考えています。吉本の無限思考の見地からみれば当然の帰結であると思います。銀河系の滅亡により人類が滅ぶまでの時間的射程をもって人間の営みを考える吉本にとっては、科学は後退させることのできない無限の前進あるのみなのです。原発にとっては制御のみが課題であると考える。この考え方は納得できます。しかし、土中における高レベル核廃棄物の安全な保管には人類の有史に匹敵する時間的長さが必要とされる。こうした制御または統御の経験を人類は経験したことがないし、統御の技術が世代間にしっかりと継承されるかどうかも分からない。こうした核廃棄物の処理だけをとっても果たして人類は制御可能であるのか?無限大の長さの責任を負えるのか?こうした疑問を誰もが持つでしょう。ダライ・ラマの仏典を読む声を聴いた著者はそのとてつもない修行の深さに感動し、宮沢賢治の宗教家・科学者としての知的射程に敬意を表します。これは人類には無限大の努力が可能であるとの確信・信念のようなものがせ感じられます。あらゆる課題を自己の力のみを頼りに無限大の時間的射程において取り組み続ける努力と責任を説いた希有な著作として、本書を勧めます。

私は大学生の時に吉本隆明の読者になって以来、彼の著作についてはほぼ網羅的に読み進んできた者だが、吉本の死後に彼の名前を冠して刊行された「著作」については非常に慎重になっている。例えば本書のタイトルについてだが、吉本は過去に『「何々」異論』と題した著作を私の知る限り2冊ほど出している。1983年の『「反核」異論』と2004年の『「ならずもの国家」異論』である。だが吉本がもし生きていたら、果たして本当に『「反原発」異論』というタイトルをつけただろうか?私はこうしたことを考えるだけでこの本を「吉本の著作として」読むことに大いに躊躇してしまう。それは書籍というものがある著者の名前を冠する場合には、そこに収められている個々の文章だけでなくそれらの構成やタイトルまでを含めて「著者」の責任においてなされていることが当然の前提であり、とりわけこの本のようにタイトル自体が強い政治的主張を含む場合には尚更のことだからである。もしこの本のタイトルと構成が吉本の明確な同意なしに作られたのであれば、「吉本隆明」の著者名の裏でこの本を作成した真の「制作者」は誰なのか?私自身がこの本について最初に関心を持つのはこの点である。

原発事故で懸念されるのは、被害補償である。日本の原発でチェルノブイリ級の事故が起こった場合、その損害額は数百兆円に昇るとみられているが、現行制度では、電力会社には千二百億円の保険加入義務しかない。実際、福島事故では今もなお多くの避難民の方が十分な補償を受けられず苦しんでいる。
そこで、再稼働の条件として、稼働する原発に対し電力会社の全社員及びその家族が各人数億円規模の保証を締結することを提案したい。
一見厳しい条件のようだが、再稼働について国民の理解を得られる自信があるなら、家族を説得することなど朝飯前であろう。(私が家族の立場なら即絶縁するが)
 もちろん、首相や関係閣僚及びその家族・秘書の方々にも原発保証に加わっていただきたい。その位のリスクを背負った上で再稼働を決めるのが、真の覚悟ある決断である。

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