黙示録論 (ちくま学芸文庫) の感想

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参照データ

タイトル黙示録論 (ちくま学芸文庫)
発売日販売日未定
製作者D・H ロレンス
販売元筑摩書房
JANコード9784480088871
カテゴリ文学・評論 » エッセー・随筆 » 外国のエッセー・随筆 » イギリス・アメリカ

購入者の感想

神学的なセンスと時事的なセンスの共に優れている保守思想の大家の翻訳による黙示録論である。
訳者は本書を難解な書物とするが、おそらく翻訳が巧みであることもあり、象徴的な言語により
著者のいわんとするところは、日常の体験や現在の諸問題に照らして考えると、かえって端的で
明瞭であるように感じられる。我々は誰でも本来なら、人であり神であり馬であり龍なのだと思う。

「神意を伺うものが…形象や象徴に見いるにつれ、彼の情動的意識はますます急激に回転し、
ついには情感の強烈な熱中状態から決著が形づくられるのである。すなわち、今様に言えば
決定に到達するのである。事実、吾々とてもなんらかの危機に際してはまったくこれと同様の
ことをやっているのだ。非常に重大なことが裁決されねばならぬようなときには、吾々はまず退き、
熟慮に熟慮を重ねる。そのあげくやがて深い情感が活動し始め、ぐるぐると廻転し始める。その廻転が
激しくなるに随って、ついに一つの中心が形づくられ、そして《なにを為すべきかがわかる》。」(105頁)

「馬、つねに馬である!…馬をもつものは貴族である。いまでも吾々の暗い魂の奥深く、はるか
底の方に馬が跳躍しているのだ。それこそは支配的な象徴である。…それは吾々の肉体のうちなる
神性の最初のめざめでさえある。…馬、馬!それこそは人のうちに漲りうねる力、運動と行動との
力の象徴。…白き馬、赤き馬、黒き馬、青ざめたる、あるいは黄ばみたる馬…。」(121〜122頁)

「龍は人間意識の最古の象徴の一つである。龍と蛇の象徴は人間意識の深奥に根を張っていて、いまなお
それがたてる草の葉ずれの音には、最も豪胆な《近代人》でも、制御の及ばぬ魂の奥底に戦慄を感ずるのである。
…それは一種の流動性の、さざ波のごとくゆれうごく潜勢力であって、つねには静かにやすらい、穏かに
眠ってはいるが、いついかなるとき不意に躍りあがるかも知れないのだ。…あらゆる種類の欲望、これらの
突然の発作もまたおなじものなのである。…この《行為の遂行者》すなわち人間の全身全霊を貫いて波打つ

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