東北発の震災論―周辺から広域システムを考える (ちくま新書) の感想

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参照データ

タイトル東北発の震災論―周辺から広域システムを考える (ちくま新書)
発売日2013-01-09
製作者山下 祐介
販売元筑摩書房
JANコード9784480067036
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 社会学 » 社会学概論

購入者の感想

 
『限界集落の真実(ちくま新書) 』の著者による、東日本大震災の被害と復興に関わる社会学的観察の報告。

本書が他の「復興論」と特に大きく異なるのは、地震・津波と原発事故による直接的な被害よりも、むしろ、そこからの復興の進展こそが却って本来の地域社会を破壊して行くという、出来れば目をつぶりたくなるような事実から目を逸らすことなく真正面に向き合い、その過程が、震災以前から現在までの私たちの日本社会が辿りつく避けがたい必然であることを(残酷にも)明示することで、その根本原因をなす日本社会の現状(=これが「中心‐周辺」という非対称な関係性からなる「広域システム」である。)の呪縛を断ち切り、本当に新しい(そしてもしかしたら、我々が捨てて来た古い社会にも少し似ているかもしれない)地域社会への転換を模索していることだと思う。

「ただ元に戻すだけではダメだ。」と言うだけなら、震災直後から多くの人が口にして来たことだ。ただ本書では、特に前半で、被災地域を一つ一つ、つぶさに見て回り、「なぜダメなのか」「どうダメなのか」を丁寧に拾い上げて行く。そしてその上で後半では、その「ただ元に戻すだけ」の“復興”とは即ち、震災以前から始まっている日本社会全体の「広域システム化」を、震災発生以降の被災地で更に徹底して推し進めて行くことであり、それによって震災以前から始まっていた東北地方の、中でも特に「周辺」に位置づけられるエリアの地域社会の疲弊や破壊が、より徹底されていくに違いないことを証明していく。
(ただし今のまま、「広域システム」の枠組みの中で、徒らに“復興”を急ぐのであれば、という条件付きであることは、著者に代わって強調しておきたいが。)

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