文体の科学 の感想

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タイトル文体の科学
発売日販売日未定
製作者山本 貴光
販売元新潮社
JANコード9784103367710
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購入者の感想

本書は、様々な知の領域の文がどのように書かれているかを述べたものである。――と、ひと言でいってしまうと簡単なことのようだが、これはたいへんな力業だと思う。たしかに、本書でも最後の章で取り上げられている「小説」という分野であれば、これまでにも文学研究者たちが詳細に議論してきた。だが、そうした文学研究者たちは、「法律」や「科学」の文を論じてはこなかった。では、法律家や科学者、あるいは法制度の研究者や科学史家はどうだろう。やはり彼らも、文によって表現されている概念や事実の分析はしても、文そのもの(文の身体)は素通りしてしまい、文がどのように書かれているかには、ほとんど関心を示してこなかったのだ。本書が注視しているのはまさにこの部分である。それによって眼差されるもののなんと豊かなことか。その理由は、文の姿がどこかで内容を規定し、内容が文の姿を規定する、という関係があるからだろう。そしてそれがメディアの物質性ということに違いない。――雑誌に連載されていたせいもあるのだろうが、とても平易に書かれており、あえて深入りした議論は避けているように見えるにもかかわらず、個々の要素はじつによく考えられた上で提示されており、冒頭から末尾までゆるむところがない。「文」学研究者にこそ書いてほしかった本だといえば、著者に失礼だろうか。

書物について「内容」からではなく、むしろスタイルやデザインといった「形式」の側面から考察した。

視点がとにかく斬新だ。こういう本はたぶん、類書がない。

それだけに、いまの時点で、あるいはこの本だけで全部を語りつくされていると想定するのは、早計。「文体の科学」原論の、まずはデッサンが示された、といっていいい。

だがすぐれた画家の「習作」や」「デッサン」はそれだけで自立した美しさを有するが、この本にそれは当てはまる。

読書、理解、認識、世界観や価値観の形成される過程、といったテーマに関心のある読者に必見の書。

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新潮社から発売された山本 貴光の文体の科学(JAN:9784103367710)の感想と評価
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