春の雪 (豊饒の海) の感想
参照データ
タイトル | 春の雪 (豊饒の海) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 三島 由紀夫 |
販売元 | 新潮社 |
JANコード | 9784103210184 |
カテゴリ | 文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 » ま行の著者 |
購入者の感想
人間の心は斯くも複雑で奥深いものかということを思い知らされた。三島は文章表現の天才であると同時に、心理分析の天才でもあると思った。人間の心理に鋭くメスを入れ、登場人物さえ意識していないであろう感情の一つ一つを取り出して、それを言葉というものに置き換えて巧みに表現している、という感じがした。
春の雪は、豊饒の海シリーズ4部作の始まりであり、筋立てはさる貴族的名家で起こった実際の事件にもとづいた「禁断の恋」の物語である。しかしテーマはそれだけに終わらず、輪廻転生という仏教的哲学も盛り込まれ、私には全てを理解するのは難しい。
こういう筋書きの悲恋ものの小説には必ず泣いてしまう私だが、この作品は余りに精巧すぎて、また、主人公や脇役の登場人物たちの心理描写が緻密かつ意外性を突いており、泣くのも忘れてただ唸るのみだった。昨今の軽薄な小説とは全く異質の、超1級文学作品と言えよう。
春の雪は、豊饒の海シリーズ4部作の始まりであり、筋立てはさる貴族的名家で起こった実際の事件にもとづいた「禁断の恋」の物語である。しかしテーマはそれだけに終わらず、輪廻転生という仏教的哲学も盛り込まれ、私には全てを理解するのは難しい。
こういう筋書きの悲恋ものの小説には必ず泣いてしまう私だが、この作品は余りに精巧すぎて、また、主人公や脇役の登場人物たちの心理描写が緻密かつ意外性を突いており、泣くのも忘れてただ唸るのみだった。昨今の軽薄な小説とは全く異質の、超1級文学作品と言えよう。