「相対性理論」を楽しむ本―よくわかるアインシュタインの不思議な世界 (PHP文庫) の感想

　相対性理論の内容（結論）をざっくりと紹介します。日常の我々の感覚からはとても実感できないこんな理論なんです、という紹介です。これをもって「楽しむ」という書名としたのだな、ということがあとから判明しました。
　確かに、全く不思議な理論ですがどうも現実の観測結果からするとそれが真実らしい、すべてのことを矛盾なく説明できる理論らしい、へえ～って、、、、これを「楽しい」と思える人には、良い本ですね。
　でも、なぜそうなのか、光とは何なのか、波動とは何、光子って何、、、、、と考えちゃう人には肩すかしの本となります。こうも考えられます、ああも考えられます、、、というだけで曖昧です。「現在のところ、光をうまく説明できる説はありません」と言ってくれたらどれだけすっきりするでしょう。それとも、うまく説明できる説があるのでしょうか？　少なくともこの本からは読み取れませんでした。81ページに「光の性質を探る過程で、現代物理学は発展してきたと言えるのです」と述べながら、光には波の性質と粒子の性質の両方がある、それはこんな実験から確認できる、、、、というだけで、それ以上の記述はありません。
　世紀の大理論である相対性理論を、一冊の文庫本で理解しようと考える方が間違っていますね。相対性理論の爪の垢を煎じてその臭いを嗅いだくらいの感じでした。

タイトルどおり、まさしく「相対性理論」を楽しむ本。
学生時代に数式ばかりの物理についていけなくて成績は超低空飛行だった。そんな私にも、これなら「なんとなく、なるほど！」だった。
この「なんとなく」、というところがミソなんだと思う。「きっちりなるほど！」にさせようと思ったら何十冊と入り用だろうし、そんなこと物理音痴には全く耐えられないだろう。この本は、そういう基本がデキてない私のような人でも十分その世界が堪能できるようにかみ砕いて根気よく解説されている。「なんとなく、なるほど！」以上になりたい人は本格的な理論をちゃんと学んでね、と著者もこの本の中に幾度も書いていることだし。高校生のとき、この本にであっていたら、物理好きになっていたかもしれないなぁ。
それにしても光速の世界にならなければ見えないようなものを、頭の中だけでシュミレートしてしまうアインシュタインってやはりスゴイ。数式を解けばそうなるのだ、とは言われても、「常識」が邪魔して普通はなかなか受け入れがたいもの。
読み進むうち、頭の中がビッグバンをおこして広々していくような感じがした。

高校時代にはすでに物理を勉強していない私でも理解できました。

難しい言葉も数式もなく、すいすい読めました。

（数式はありますが、読み飛ばしても全然、支障ありません。）

アインシュタインがすごいんだではなく、相対性理論をよく理解して、簡単に説明できる著者がすごいと思います。

難しいことを難しく教えることは簡単です。

簡単なことを簡単に教えることも当たり前です。

やっぱり、難しいことを簡単に教えることこそ、すばらしいことだと思います。

しかも、著者の経歴を見てびっくり、難しく説明しそうな感じなのに。

一度、講義を聴いてみたいです。

高校や大学時代に会っていたら、私も物理学をもっと勉強していたかもしれません。

　専門じゃないんでしょ、なら、ここまででいいよ。
　の、「ここまで」がどこまでなのか、著者が常に気を使って考えてくれているのがありありと分かります。多少難しすぎるところにいきそうになると、「危ない、危ない」と。
　細かい式は説明できないけど、相対性理論は、だいたいこんな発想から生まれて、今、時間とか宇宙とかは、だいたいこんな風に認識されてるんだ、というレベルの本です。この本のタイトルに魅力を感じる人なら、かなり理解しやすく書かれているはずです。
　雑学として、「相対性理論って、どんなん？」と聞かれた時に答えられたら、なかなかかっこいい。
　その助けになる、おいしい本でした。
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