無関係な死・時の崖 (新潮文庫) の感想

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参照データ

タイトル無関係な死・時の崖 (新潮文庫)
発売日販売日未定
製作者安部 公房
販売元新潮社
JANコード9784101121086
カテゴリ文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 » あ行の著者

購入者の感想

何だかよくわからないままに、何が起きているのかを知りたくて話の筋を夢中になって追いかけ、
ようやく捉えかけたかと思ってほっとしていると反対側にいた、そんな話が多かったです。
読み終えるごとに余韻に浸りながら、あれはどういうことだろうかと考えてしまう読書体験は、
自分のなかで得心が行くと強烈な記憶に残ります。

純文学を基盤としてホラー・SF・ミステリ・哲学をごちゃ混ぜにし、
表現するために扱う言葉の知識量に圧倒されます。
読みやすいものもあれば、つまずくように読みにくくもなったり、文体の変化も楽しめました。
安部公房でこれが一番かと言われればそうではないですが、おすすめしやすい短篇集です。

この短編集は安部公房が一番脂が乗っていたときに書かれた作品が中心になっている。であるから、無視していい作品は一つもない。特に注目すべきは『人魚伝」である。この作品はおそらく安部公房のキャリアにおける最高傑作のひとつではないだろうか? 短編なので注目されてはいないだろうが、作品のクオリティに関しては『砂の女』や『燃えつきた地図』のレベルに位置している。ホラー小説としても充分通用するし(というか、この作品を読んでしまうと大半のホラー小説がまがい物に見えてくる)、残酷な童話としても通用する。
しかし、安部公房といい三島由紀夫といい、あとほぼ同年代の遠藤周作もそうなんだけど、この世代は凄いな。曲者の実力者ばかりで今じゃ考えられませんねぇ。

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