パサージュ論 (岩波現代文庫) の感想

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参照データ

タイトルパサージュ論 (岩波現代文庫)
発売日販売日未定
製作者W・ベンヤミン
販売元岩波書店
JANコード9784006001018
カテゴリ文学・評論 » エッセー・随筆 » 外国のエッセー・随筆 » ドイツ

購入者の感想

 最初にベンヤミンが書いた短い(やや難解な)文章(独語版と仏語版の翻訳)があり、その後、ベンヤミンが集めた膨大な数のネタ(他の方の文章の切り抜き)がテーマごとに掲載されています(ただし、第2〜5巻に続く)。冒頭の文章に使われているネタはごく一部。彼は、ナチスに追い詰められて亡くならなければ、もっと大きな論説を書けたのでしょう。「ファンタスマゴリ」という語が、幻像/夢幻/魔術幻灯といろいろ訳されていますが、人間を取り囲む環境イメージのことと言えるかもしれません。「ファランステール」(協働生活体)のシャルル・フーリエやルイ・オーギュスト・ブランキという人物も初めて知りました。

小生の印象に残った点は以下です。
・鉄は、パサージュ・博覧会場・駅のようなトランジットのための建物に使われた。
・ホールの語源は天井が付いていることで、壁は副次的。パサージュの壁は両側の建物の壁であり、パサージュはホール。
・ギャルリとは、幅広の屋内空間のこと。
・ガラスと鉄のパサージュは、ガラスが汚れ、タバコ等で空気が澱んだ。
・パサージュの各店舗の倉庫が各中2階に作られ、そこにも店を出すようになって、百貨店に進化した。
・オースマンがパリに大通りを多数通したのは、バリケードを作らせないため。パリには1830年(ドラクロワが絵を描いた七月革命)には6,000ものバリケードがあった。細い道では馬車を横倒しにすれば道路を封鎖できた。
・フーリエの協働生活体は、住居用のパサージュからなる都市。

 建物の2階同志を橋渡しして繋いで歩行者用通路にする話や、複数の窓や建物をつなぐ鉄のバルコニーの話等を通して、都市/建物/歩行/社会って何だろう?と考える迷宮へのヒント/入口になる本かもしれません。

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