イタリア紀行(上) (岩波文庫 赤405-9) の感想

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参照データ

タイトルイタリア紀行(上) (岩波文庫 赤405-9)
発売日販売日未定
製作者ゲーテ
販売元岩波書店
JANコード9784003240595
カテゴリ文学・評論 » エッセー・随筆 » 日記・書簡 » ドイツ文学

購入者の感想

 1786-88年にイタリア旅行を行ったゲーテが、1816-17、29年に旅行記としてまとめたもの。旅行の際につけていた日誌や書簡を下敷きにしてはいるが、30年たっての刊行ということもあり、ずいぶんと手が入れられていて、フィクションに近い部分も少なくないらしい。
 上巻はドイツを出発してから第一次ローマ滞在まで。パラディオの建築で有名なヴィチェンツァ、聖フランチェスコのアッシジなど、現代ではマイナーな土地の観察が面白い。ヴェネツィアやフィレンツェには比較的冷ややかで、ゲーテの独特の感性を垣間見せてくれる。
 イタリアへの憧れと現実、教皇や一般のカトリック信徒への視線にも、北方人であるゲーテの複雑な思いが映し出されていて興味深かった。
 この時代に書かれたイタリア旅行記としては最高のものであろう。
 翻訳が出たのは1942年だが、思ったほどの古さは感じられなかった。名訳。

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