イザベラ・バードの旅 『日本奥地紀行』を読む (講談社学術文庫) の感想

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タイトルイザベラ・バードの旅 『日本奥地紀行』を読む (講談社学術文庫)
発売日2014-05-23
製作者宮本常一
販売元講談社
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本書はイザベラ・バードの「日本奥地紀行」の解説書かと思ったら違った。
たしかに「日本奥地紀行」からの引用文は沢山あるが、それに数倍、いや数十倍の量の
著者の民俗学的研究の成果が語られている。
言わば、イザベラ・バードの言葉をまくら言葉にして、著者は明治初期の日本の農村風景の
民俗学的分析を語っている。
それでは、面白くないこと言えばそうではない。
当時の日本にいかにノミ、シラミなどが大量に寄生していたかなど
思いもよらなかった日本農村の不潔さ、日本人の容姿の醜さなどが語られていて
「なるほど、そうだったのか。」と思い知らされることが沢山ある。
またイザベラがアイヌ人に対して「西洋人の子孫ではないかと」との思い込みから
かなり好意的に描写してることなども目新しい。

本書は講話形式をとっているので、文章もくだけていて読みやすい。
一読に値する書物と思う。

宮本常一の典型的な視点が読めて楽しい。バードの「日本奥地紀行」の要点が読めて便利で楽しい。赤坂憲雄の解説が面白い。或る意味、奇怪な近代化直前の日本の風景が垣間見れる。蚤や虱の温床のような日本。近代化以前とは自給自足に近い、自然の過酷さに圧され乍ら辛うじて生きていられるような世界。何処かレヴィ ストロースの「悲しき熱帯」を髣髴とさせるような世界が展開されている。一方で、気高く、他人の迷惑にならないように慎重かつ好意溢れる当時の日本人に、「忘れられた日本人」を見ることになる。惨めな生活環境でも、胸を張って誇りに思える日本人が垣間見ることができる。

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