コーラン〈中〉 (岩波文庫) の感想

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タイトルコーラン〈中〉 (岩波文庫)
発売日販売日未定
販売元岩波書店
JANコード9784003381328
カテゴリ »  » ジャンル別 » 文学・評論

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本書『コーラン 中巻』は『コーラン』発展史の中で中期のメッカ・メディナ時代に編まれたと言います(302頁)。メディナの邑でのユダヤ教との接触により、『コーラン』は説話的・物語的要素を帯びるようになりました(304頁)。事実、ノアの洪水やモーセの話が一度にとどまらず、何回も語られます。
そしてアッラーが“赦しの神”であることも何回も語られます。人間は不完全であるがゆえに、間違いを犯します。しかし、人間がその過ちを反省し、アッラーを帰依するのであれば、アッラーはその過ちの罪を取り除くと語っています。
ところで「イスラム教=テロリスト」は証拠のないでっち上げです。「されば汝(マホメット)はゆったりかまえて立派な寛容の態度をとるがよい」とやたらに復讐を急ぐのを戒めています(71頁)。それから「またもしお前たち、(相手を)懲しめようというのなら、懲しめてやるのもよし、だが向こうにやられた程度のことにしておくのだぞ」と度を越す復讐を制し、さらに「だが、もし我慢できるものなら、我慢するにしくはない」と諭しています(92頁)。イスラム教はジハード(聖戦)にのみ専念する宗教ではなく、異なる他者に対して寛容の精神も備えていることが読み取れます。
ジェンダーに関して言えば、マホメットの奴隷だった者の妻にマホメットが恋心を抱く話があります(293頁)。マホメットの恋を正当化する中で見えてくるのは結婚および離婚に際して女性は主体的でないということです。最後に、現在の日本でも問題になっていることかもしれませんが、アッラーは女性に「やたらにごてごてお化粧しないよう」にと述べています(292頁)。
本書でイスラム教の世界・価値観をのぞき見ることができるとともに、その状況の雰囲気を醸し出す井筒氏の名訳に浸ることができます。

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