ゲバラ 世界を語る (中公文庫) の感想
参照データ
タイトル | ゲバラ 世界を語る (中公文庫) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | エルネスト・チェ ゲバラ |
販売元 | 中央公論新社 |
JANコード | 9784122050273 |
カテゴリ | ジャンル別 » 社会・政治 » 政治 » 政治入門 |
購入者の感想
ゲバラは当然のことながら社会主義者であるが、彼の主張は全く古さを感じさせない。社会主義というとすべてが国有化され、統制を乱すものは粛清されるというイメージがあるが、それは社会主義をねじ曲げて実践した歴史の結果だろう。本来は、人間を物質的必要から自身を商品として売らねばならないという状況から救うため、労働に新しい地位を与え、それを商品ではなく自己表現の手段とするための思想である。彼は権利と義務の自覚なしには新しい社会は築けないと主張する。彼の考え方をつきつめていくと、社会主義を成功させるためには個々人が一層成熟している必要があるように思われる。そしてそれらが一定の水準に達した時点で、彼の理想とする社会主義社会は十分可能であると思われる。社会主義は資本主義より、はるかに一人一人の責任が問われるのだ。そしてそれには教育が直接関連すると説くところがまたゲバラらしい。この本を読むと、彼がいかに多くの思想を自分のものとして吸収し、自らの中で発展させていたかが分かる。キューバ革命は決して情熱だけでは達成できなかっただろう。ゲバラにしろ、カストロにしろ、彼らの中には理想主義と同時に、並外れた観察眼と冷静な分析力が備わっていたはずだ。この本はゲバラの思想が凝縮されている。構成は多少読みにくい。