陰陽師 醍醐ノ巻 (文春文庫) の感想

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参照データ

タイトル陰陽師 醍醐ノ巻 (文春文庫)
発売日2013-11-08
製作者夢枕 獏
販売元文藝春秋
JANコード9784167528256
カテゴリ » ジャンル別 » 文学・評論 » 歴史・時代小説

購入者の感想

安倍晴明・源博雅の二人による謎解き仕立ていう構成は従来と変わりません。全九編から成っています。
各話とも,「花鳥風月」といった季節感を感じさせる書き出しとなっており,本シリーズの特徴となっています。これによって,読者は,雅な平安朝の世界に没入することができるとも言えましょう。

闇に巣くうあやかしを堪能できる物語としては,『百足小僧』『不言中納言』がお薦めです。
また,人間の哀しさや業を感じさせる物語としては,『夜光盃の女』『白蛇伝』が出色です。

シリーズを重ねると,物語のネタを考え出すのも大変であると推察します。
本シリーズの基軸は,安倍晴明・源博雅の二人による謎解きにありますが,盛り込む内容によって,読者の興味・評価が分かれるかもしれません。今までのパターンからいえば,「安倍晴明とあやかしのバトルもの」「陰陽師同士のバトルもの」,「謎解きに重点を置いたもの」,「人情の機微に重点を置いたもの」,あるいは,これらを組み合わせたもの,といったところでしょうか。バトルものを好む読者にとっては,人情ものはつまらなく感じるでしょうし,またその逆も言えます。
一度,これらのバランスを崩した,例えば「バトルもの」に限定した物語だけで構成された短編集というのも,読んでみたい気がします。

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