「孟子」の革命思想と日本―天皇家にはなぜ姓がないのか の感想

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タイトル「孟子」の革命思想と日本―天皇家にはなぜ姓がないのか
発売日販売日未定
製作者松本 健一
販売元昌平黌出版会
JANコード9784846013424
カテゴリ人文・思想 » 哲学・思想 » 東洋思想 » 東洋哲学入門

購入者の感想

 松本健一さん追悼で読みました。

 民主党政権成立時に官邸に入ったりしたので、反発をおぼえ、本を手に取らずに来ましたが、この本読んでみて後悔。これは素晴らしい作家です。早く読むべきでした。

 天皇家は姓を持たない。姓を与える役割だ。その制度を作ったのはいつ誰なのか?その問いと『孟子』が密接にかかわるというのが本書の問題意識であり、出発点。

 上田秋成『雨月物語』で西行が崇徳院の怨霊をなだめ、成仏させる場面が出てくるが、その中で古より『孟子』を中国から日本に運んでくると必ず神風がふいて船がひっくり返るという故事が語られる。日本の国体に『孟子』があわないというのは昔から少なくとも知識人には認識されていたと述べられる。つかみは最高。 

 すなわち易姓革命のない国柄が日本であるという。中国の皇帝は皆、朱とか劉とか姓を持っている。しかし日本の天皇は姓がない。姓をなくすことによって易姓革命のない国を作り上げた誰かが日本にいたのであろうと著者は推測する。それはおそらく天武と藤原不比等であろうとも予測する。

 吉田松陰、西郷隆盛、北一輝という日本の革命家も『孟子』を参照して、どのように孟子を解釈しているかによって位置づけが変わるとも説明し、3人の革命家の思想を『孟子』を読むことによって別の光をあてる。

 いろんな格言の出典がどの古典か明確にしてくれているところも助かる。こうやって確認されると自分がずいぶん勘違いしていることにも気づかされて。敬天愛人は論語。西郷隆盛がよく使った「至誠」も孟子の「至誠にして動かざるものはいまだこれあらざるなり」からだとのこと。王陽明が出典だと勘違いしていた。

長年日本の天皇制がいまだに続いていることの背景が分からずにいましたが、この本で目を開かれました。納得です。

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