「尖閣問題」とは何か (岩波現代文庫) の感想

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タイトル「尖閣問題」とは何か (岩波現代文庫)
発売日販売日未定
製作者豊下 楢彦
販売元岩波書店
JANコード9784006002732
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 政治 » 政治入門

購入者の感想

本書に限ったことではありませんが、著者の、資料に対する推敲に基づいた非常に
明快な論理構成で、壮快な読後感でした。歴史的・政治的背景を含め問題点の把握に
大いに参考になった反面、政官とも現実世界への見かけ対応が50年前と基本的には
変わっていないことを考えると、日暮れて道遠しの感を更に強くさせられました。

著者の豊下楢彦氏は戦後外交史の第一人者である。この本は同著者の「安保条約の成立」「集団的自衛権とは何か」「昭和天皇・マッカーサー会見」に続く最新の戦後史を扱った著書で、近年における日本の最大の外交問題である「尖閣問題」およびその他日本の領土問題を扱っている。

この本は「尖閣問題」だけを取り扱ったものではない。北方領土問題、竹島問題も取り扱っていて日本の領土問題について戦後外交史の歴史的背景から問題点を抉りだし合わせてその戦略的解決策を提示しようとするものである。本書は戦略立案という面からも極めて価値が高い。

本書の眼目は、戦後60年以上もたって歪められてしまった外交をいったん戦後(直後)の「政府・外務省が立脚していた認識の原点」に立ちかえって外交の再構築を行うことの有効性と必要を説いていることだと思う。

たとえば今問題になっている歯舞、色丹、国後、択捉いわゆる北方四島は戦後当初はどういう位置付けだったのか、初めから今のように「北方領土」は日本の「固有の領土」という位置付けだったのか、そこは冷静に振り返ってみる必要があるようである。

著書より一部抜粋してみる。「米国が介入した冷戦の産物である「北方領土」という「お念仏」にいつまでも囚われることなく、「南千島と歯舞・色丹」という戦後の政府・外務省が立脚していた認識の原点に立ち返り、1956年の日ソ共同宣言に基づいた領土問題の「戦略的解決」に踏み出すべきである。ここで言う「戦略的」とは、問題に優先順位を付けると言うことである。端的に言って、巨大な「中国の脅威」に対して日ロ関係を格段に緊密化させようとする課題と、「北方領土」概念に執着して半永久的にロシアとの間で領土紛争を抱え続けることと、いづれが日本外交にとって死活的かという問題である。」

こうしたことは竹島問題にも当てはまる。竹島の領有権も過去の文献その他の資料を渉猟して分析した結果に基づいても「竹島が歴史的に韓国に属すべき正当な理由は見出し難い」ということなのであるが、それにもかかわらず著者は竹島問題の「大胆な打開策」を提示するのである。

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