モモ (岩波少年文庫(127)) の感想

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参照データ

タイトルモモ (岩波少年文庫(127))
発売日販売日未定
製作者ミヒャエル・エンデ
販売元岩波書店
JANコード9784001141276
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » ドイツ文学

購入者の感想

小学生の時に劇でやったのがきっかけで読んで以来、大好きな名作です。
内容に関しては他の方々も書かれているので省かせていただきますが、一つ文庫版で残念だったことがあります。
それはハードカバー版の裏表紙に描かれていた作者自身による時間の国の広間の素晴らしいイラストが、文庫版には無かったことです。
この無限に伸びる廊下と壁一面に置かれた様々な時計のイラストが非常に綿密で想像力をかきたてる魅力的なもので大好きだったのですが、ハードカバー版と入れ替えようかと購入した文庫版の方には裏表紙のイラストが無くなっていて、中身も何度も見返してみたのですがどこにもこの挿し絵が載っていなかったのでとても残念でした…。
せっかく物語の世界観をより深く味わえる素晴らしいイラストなのでぜひ文庫版にも挿し絵として載せておいてほしかったです。
文庫版しか読んだ事の無い方にもぜひハードカバー版の方も買って裏表紙のイラストを見てみてほしいです。

貧しいが、のほほんとした温かい生活を送っている村人たちのところに、効率こそ大事だとささやきながら、無駄なことをどんどんやめさせようとする灰色の男たち、時間ドロボウがやってくる。
おっとりしたモモが、そんな時間ドロボウから奪われた時間を取り返して村人の生活を元通りにするために立ち上がるといったストーリー。
70年代に書かれた本であるが、時間に追われる現代人と資本主義の行く末を暗示するかのような世界観が描かれている。本当に大切なもの、幸せってなんなのか、そもそも無駄なことってなんなのか、
立ち止まってじっくりとそういうことを考えるべきときに感じるものがある本。

しかし、ミヒャエル・エンデがすごいのはもう一段上のレベルの概念、『時間とは意識である』ということを子供に語りかけるような言葉で説明しているところだと思う。

時間の国に住むマイスター・ホラがモモに語った言葉では、こうなっている。

「人間はじぶんの時間をどうするかは、じぶんできめなくてはならないからだよ。・・・・・時計というのはね、人間ひとりひとりの胸のなかにあるものを、きわめて不完全ながらもまねてかたどったものなのだ。・・・・人間には時間を感じとるために心というものがある。そして、もしその心が時間を感じ取らないようなときには、その時間はないもおなじだ。」

1・・2・・3・・という秒の単位は、あくまで物理的な計算を成り立たせるための原理原則として作られているもの。それを空間的に表現したものが時計である。
しかし、過去に起こったことを過去の記憶として整理し、今をとらえ、未来を想像することができるのは人間の意識がそのようになっているから。

逆に言えば、妄想の世界に生きている人、精神的に狂ってしまって、過去や現実、妄想の区別がつかない人には時間という概念が存在しないと言ってもいい。

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岩波書店から発売されたミヒャエル・エンデのモモ (岩波少年文庫(127))(JAN:9784001141276)の感想と評価
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